山手線にも「起点」と「終点」がある 正しい“環状線”はどこに?
地下鉄にも環状線はある
地上の鉄道だけに環状線があるわけではない。都営大江戸線は、東京の人にはなじみが深い環状の地下鉄である。 都庁前駅を起点とし、光が丘駅を終点とする。路線の構造上、この2駅を往復する。しかし、途中で都庁前駅をいったん通る。それゆえに環状線として扱われている。 同路線は1991年12月に光が丘駅から練馬駅が開業し、1997年12月に練馬駅から新宿駅、2000年4月に新宿駅から国立競技場駅が開業した。このとき「大江戸線」を名乗るようになった。同年12月に国立競技場駅から築地市場駅、両国駅、飯田橋駅を経て都庁前駅に向かう路線が開業し、環状線になった。 だが、途中で起点にいったん戻るものの、ぐるぐる回らないところが都営大江戸線にはある。環状というより「6」の数字に近い。
完璧な環状線はあるのか
では、いわゆる“完璧”な環状線はあるのだろうか。起点と終点が一緒で、ぐるぐると回る路線はどこだろう。 山手線と大阪環状線は、実態として環状運転をしているものの、路線の起点と終点は別だ。都営大江戸線は全区間同じ路線だが、ぐるぐる回っていない。ではどこに環状線があるのか。 名古屋市営地下鉄の名城線は、起点が大曽根駅、終点も大曽根駅という路線である。1965年10月の部分開業以降、工事は進み、2004年に全線が開業。これで純粋な環状運転ができるようになった。ただし、金山駅で名港線と接続し、名城線と名港線が乗り入れている。 計画では大曽根駅から栄駅、金山駅を経て名古屋港に向かう2号線、大曽根駅から名古屋大学駅を経て金山を結ぶ4号線だったものが、環状区間と枝線で路線名を分け、環状区間を中心に運行するようになった。 この路線こそが、「ザ・環状線」という名にふさわしいのではないだろうか。 環状線といってもさまざま歴史があり、路線名と運行区間名が違ったり、ぐるぐる回っていなかったりする場合もある。さまざまな経緯によって環状線になったこれらの鉄道は、営業上の必然性があって環状線になったのである。特に、山手線や大阪環状線は求められるものに応じて姿を変えたといえるだろう。 (小林拓矢)
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