<頂点つかめ!2020センバツ>第1部・チームの軌跡 健大高崎/上 完敗経験し「変わろう」 精神的成長の必要性実感 /群馬
<頂点(てっぺん)つかめ!2020センバツ> 3月19日に開幕する第92回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催、朝日新聞社後援、特別協力・阪神甲子園球場)の出場校に県内から健大高崎と桐生第一が選出された。両校がセンバツ切符をつかむまでの軌跡を振り返る。【妹尾直道】 「どん底からのスタート」。青柳博文監督は振り返る。前年まで5年連続で夏の群馬大会決勝に進出していたが、昨夏は初戦の2回戦でまさかの敗戦。県内関係者に衝撃が走る中、1カ月ほど早い新チーム始動となった。 選手たちは気持ちを切り替えて練習に臨んだ。新チームは中学時代から全国各地のクラブチームで活躍した選手たちがそろい、県の1年生大会でも優勝を果たしていた。戸丸秦吾主将(2年)は「夏を引きずることなく、自分たちの戦い方を意識した」と話す。 迎えた秋季県大会。2回戦から登場すると完成度の高さを見せつけた。主戦の下慎之介投手(2年)は初戦で五回まで完全試合ペースの投球を見せた。打線は、準々決勝までの3試合で計28得点を挙げ、いずれもコールド勝ち。走塁や守備の連係も地力をつけ、「力で勝てる」という手応えをつかんでいた。 だが、落とし穴は準決勝にあった。相手は2018年春以降、県内で1勝3敗と苦手とするライバルの前橋育英。試合は、序盤に先制を許すと、中押し、ダメ押しと効果的に得点を奪われて5失点。打線も3安打と沈黙する完敗を喫し、戸丸主将は「力の差だけではなく、試合の雰囲気の部分で負けた。もっとできたという後悔が残った」と振り返る。 「一人一人が変わらないといけないと自覚できた。重要な試合になった」と内野手の山畑陸選手(2年)。試合に臨む状態や考え方、声かけなど精神面でも、成長の必要性を実感させられた。 地元開催だったことから枠が一つ増え、3位決定戦の勝利でなんとかつかんだ関東大会の切符。強豪校との対戦を前に、チームで掲げたスローガンが「下克上」だった。