風間杜夫「『蒲田行進曲』からアイドル時代を経て、今年で75歳。宮沢りえちゃんから〈ざまあみろ〉と書かれたメモを貰ったことも」
◆走り書きのメモに「ざまあみろ」の文字が 酔っぱらって失敗したこともありました。2013年に『今ひとたびの修羅』という舞台で宮沢りえちゃんと一緒になったんですが、稽古が始まって3日くらいたった頃かな、出演者の堤(真一)くんをはじめ、皆で飲む機会があったんです。 いいかげん酔いも回ってきた頃、彼女のモノローグのシーンについて、勢いで「ギリシャ悲劇みたいなセリフ言ってんじゃねえよ!」って言ったら急にポロポロッと泣き出してね。よほど悔しかったんでしょう、怒って飲み屋から帰っちゃったんです。 翌日、「ちょっと言い過ぎたな」と思いながら稽古場に行ったら、飲み会で大声で喋っていたのがいけなかったのか、全然声が出ない。するとりえちゃんが走り書きのメモと一緒に飴を持って来てくれて、見たら「ざまあみろ」と書いてありました(笑)。かわいい子でしょう? だけど楽日の一週間ほど前にフラッと楽屋に来て、「あのとき風間さんに言われたこと、今すごく役に立ってる」って言ってくれてね。そういうふうに受け取ってくれる子もいるんだなあって嬉しかったです。 りえちゃんとは2021年の舞台『泥人魚』で、久しぶりにご一緒しました。なんて言うんだろう、その時はもう完全に年寄りを見る目で僕を見てましたね(笑)。楽屋でりえちゃんが筋肉をブルブルほぐすマッサージ機を使っていたので、「りえちゃん、それいいね」と言ったら、同じものを買って来てくれました。優しい子です。 (構成=上田恵子、撮影=本社 奥西義和)
風間杜夫