風間杜夫「『蒲田行進曲』からアイドル時代を経て、今年で75歳。宮沢りえちゃんから〈ざまあみろ〉と書かれたメモを貰ったことも」
◆若手の俳優から大いに刺激を 出演する作品について、舞台の場合は結構考えますね。誘っていただいた際は「まず台本を読ませてください」とお返事し、読んでみて「これは俺がやっても多分楽しめないな」と感じたらお断りすることもあります。 ただ映像は、タイミングさえ合えばできるだけ出たいと思っているんです。地方に住んでいる方はなかなか東京まで芝居を観に来られませんし、やっぱりキャスティングされたら嬉しいですから。「自分が住んでいる県に来てくれない」とか、「もっとたくさんテレビに出てよ」と言われることもあります。舞台の予定がタイトに詰まっているため難しい部分もあるのですが、可能な限り出演させていただくつもりでいます。 ドラマや映画では若手の俳優と共演する機会が多く、大いに刺激をもらっています。最近の若い子は皆さん芝居が上手いですからね。NHK大河ドラマ『西郷どん』で一緒になった鈴木亮平くんなんか、本当にすごいなと。役柄に合わせて体も作るでしょう? 見事ですよ。 窪田正孝くんとも舞台『唐版 風の又三郎』やNHKの連続テレビ小説『エール』でご一緒していますが、彼も上手いですよね。あと、ドラマ『ケイジとケンジ 所轄と地検の24時』で共演した後、舞台『泥人魚』でも一緒になった磯村勇斗くん。彼も上手い子だなあと思いながら見ていました。女性だと綾瀬はるかさんがいいですね。普段は天然なんだけど(笑)、芝居になるとガラッと変わる。本当に皆さん素晴らしいです。
◆芝居のアドバイスは二度としないと心に決めた ただ僕は彼らと現場で一緒になっても、外から眺めているだけであまり仲良くなれないんですよ(笑)。芝居のアドバイスを求められることもありますが、前にそれで失敗したことがあって、二度とそういうことはするまいと心に決めたんです。 ある若手の役者と共演した際の話ですが、その彼が稽古中、演出家にすごい勢いでダメ出しをされていたんです。もう「役者やめちまえー!」みたいな感じで。彼もすごく落ち込んで、休憩時間に「風間さん、何かアドバイスしてください」と言ってきたので、じゃあ2つ3つ気づいたことを言ってやろうと、「おまえ、立ち位置が違うよ。もっと前に出たほうがいいよ」とか「あそこはあんな大きな声で言わないほうがいいよ」等と助言したんですね。 休憩明けにまたそのシーンから稽古が始まって、彼が僕に言われたとおりにやったら、演出家に「なに芝居変えてんだバカヤロー!」って怒鳴りつけられてねえ……。 「そうか、演出家と僕とでは全然センスが違うんだから、僕は余計なことを言っちゃいけなかったんだ。彼は演出家と葛藤すべきだったんだ」と反省したんです。以来、そういうことは控えています。