“芸能界は華やか”が一転…「芸能界不況」が重くのしかかり芸能人の退所が相次いてでいる!
従来の「芸能事務所」というビジネスモデルは、もはや“オワコン”なのでしょうか? 今年3月から4月にかけて、数多くの有名タレントの事務所退所が明らかになった一方、会社自体が倒産・休業するという事務所もあり、芸能界に激震が走りました。 【写真】日テレが失速したのは、「あの番組の打ち切り」が原因かもしれない 前編記事『盛り上がる芸能界に“激震”が走った…芸能事務所を退所する芸能人が増えている「ほんとうの理由」』では、薄まる事務所所属のメリットについて解説しました。本記事では、さらに事務所を退所する芸能人が増えた要因を分析します。
退所したときのデメリットが薄まっている
事務所所属のメリットが薄まってきている一方で、近年は事務所を退所するデメリットも薄まっていたはず。 売れっ子の場合、一昔前まではそもそも退所することが難しかったのです。事務所との合意が得らえないというケースが多く、なかば強引に独立・移籍しようものなら、圧力をかけられ業界から干されてしまうというイメージが、我々一般人にも当たり前のように認知されていたものです。 ただ、事務所側からすれば、新人の頃から手塩にかけて育てて来たタレントであれば、退所を引き止めようとするのは当然と言えば当然。それは義理や人情などといった精神論的な話ではなく、売れたから退所するということをやすやすと許してしまっては、ビジネスとして成り立たなくなるからでしょう。 新人タレントに仕事がばんばん舞い込むなんてことは稀で、ほとんど利益がない状態で所属させているわけで、タレントとして一人前になるまでの育成費用や、テレビ局などに売り込むための営業費用は先行投資です。 ですから先行投資で損失が出ていた分を、そのタレントが売れてから回収しないといけないため、売れっ子になってすぐに独立・移籍なんてことを許可するのは難しいでしょう。それで、もし強引に出ていったタレントがそのまま成功するような前例ができてしまっては、残っているほかのタレントも続々と強引に退所しかねないので、ビジネスを成立させるためには圧力をかけざるをえないとも……。 しかし、時代は変わりました。 いまは誰でもSNSなどで世界中に発信できるようになっており、タレント本人がすぐに本音や内情を発信しやすくなっていますし、一般の人々の“声”も大きくなっているのです。 コンプラ意識が高まっている昨今、事務所側が退所を引き止めようとパワハラまがいの発言や圧力を匂わせる脅しをすれば、タレント本人がSNSで告発するかもしれません。退所したタレントがテレビなどメディアへの露出が急減すれば、元事務所が干したのだとSNSで悪評が飛び交ってしまうなんてこともあるでしょう。 そうなってしまうと企業としてイメージダウンしてしまうリスクが大きいのです。 そのため事務所側は裏で圧力をかけるなんてことができなくなってきたうえに、出ていったタレントは円満退所であるといったアピールをし、引き続き応援してあげてくださいという声明を出さなくてはいけないご時世になっているというわけです。 ですから事務所を辞めたいと思えば、わりとすんなり退所できる時代になってきていると言えます。もしかするとタレント側からすれば、仕事を取ってきてくれるといったメリットが薄まったこと以上に、退所しても圧力をかけられにくいというデメリットの軽減のほうが、決断する際のファクターとして大きいのではないでしょうか。 余談ですが歌手、バンドなどのミュージシャンであれば、コンサートといった大規模イベントを自分たちだけで運営・開催するのはかなり骨が折れるでしょうから、ノウハウを持った事務所に所属している意味は今でも大きいでしょう。 けれど役者の場合、オファーさえあれば本人が台本を覚えて役作りをして撮影に臨めばおおむね仕事は成立するので、ミュージシャンとは違い個人事務所であってもさほど問題はないはず。3月・4月の退所組に俳優勢が多かったのは、そういった裏事情もあるのかもしれません。