資産35兆円!世界一の富豪が明かした「ルイ・ヴィトングループ」絶好調のワケ
● 中国アリババと戦略的パートナーを強化 LVMHの「文化・ブランド×AI×脱アメリカ」 このアワードにおける、カテゴリーごとの受賞各社を見てみましょう。すると、LVMHの今後の戦略が透けて見えます。 (1)大賞および没入型デジタルエクスペリエンス部門賞:Fancy Tech社(中国) AIを用いたEC用動画作成サービス (2)ブランド デザイアビリティを高めるイメージ&メディア部門:Ircam Amplify社(フランス) AIを活用したサウンドデザインと没入型装置の総合的なサービス (3)サステナビリティ&グリーンテック部門賞:Aectual社(オランダ) リサイクル材料を使用した 3D プリントで造られる店舗および建築サービス (4)オムニチャネル&リテール部門賞:Glanceable社(フランス) AIを活用したリアルタイムな顧客フィードバック分析を可能にするソリューション (5)オペレーションの卓越性 部門賞:Authena社(スイス) IoT と AI を活用してサプライチェーンにおけるリアルタイムのトレーサビリティと製品の信頼性保護のための IoT ソリューション (6)社員体験/ダイバーシティ&インクルージョン部門賞:ヘラルボニー社(日本) 障害のあるアーティストと企業との質の高いコラボレーションを企画から製品化まで展開するアートエージェンシー (7)データ、AIおよびジェネレーティブAIソリューション 特別賞:BLING(米国) ジュエリー・デザインのためのAIを活用したバーチャルスタジオ・ソリューション 筆者には、LVMHが、「文化・ブランド×AI×脱アメリカ」の戦略を進めているように見受けられました。7社のうち5社は、AIに重きを置いたテック企業であり、アワードのテーマや登壇者の言葉の端々から、「欧州固有のブランド・文化にAIを掛け合わせることで新しい価値を創造していこう」といった強いメッセージを感じたからです。 また、アジア企業も巻き込みながらスタートアップを育成することで、米国ビックテックに対抗していこうという「脱アメリカ」路線も強調されていたと思います。恐らく米企業の応募もそれなりにあったのではないかと推測しますが、結果的に受賞した米企業は7社中1社しかありません。何か明確な意図があると思わずにはいられません。 実は、LVMHはVIVA Technologyの期間中、重大な発表をしています。それは、中国の大手電子商取引およびテクノロジー企業であるアリババグループとの連携について。LVMHは、「アリババと戦略的パートナーシップを更新し、生成AIを活用した革新的なソリューションを強化することで、中国におけるオムニチャネル、テクノロジー、データのプレゼンスを高める」と宣言しました。