資産35兆円!世界一の富豪が明かした「ルイ・ヴィトングループ」絶好調のワケ
75もの高級ブランドを持つLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン。世界一の富豪が率いる、世界最大級の企業グループの実態とは? 買収の歴史、決算書分析、世界中のスタートアップを対象にした表彰式の狙いから、ひも解きます(敬称略)。(トライズ代表 三木雄信) 【図解】買収の歴史年表、巨大企業の秘密を示した決算書の図解、日本で初の快挙となったイノベーション・アワード受賞企業がイベントに登壇した様子など(この記事は図表と写真が多く、本文と合わせて読むと理解しやすいので、ダイヤモンド・オンラインで元記事を読むことをお勧めします) ● 世界1の富豪ベルナール・アルノーが語る 「LVMHは投資会社だ」その本質とは 5月末、仏パリで行われた欧州最大規模のテックスタートアップ見本市「VIVA Technology」を訪問した時のことです。 今年のVIVA Technologyは、テスラ創業者でX(旧Twitter)のトップでもあるイーロン・マスクが「子供の卒業式」を理由に動画での参加だったこともあり、開催期間中で一番の盛り上がりを見せたのがLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン会長兼CEOのべルナール・アルノーのスピーチでした。 ベルナール・アルノーは、75もの高級ブランドを持つ現在のLVMHを作り上げた人物です。2023年版の米誌フォーブス「世界長者番付」にて、推定保有資産額2110億ドル(約28兆円)で1位となりました。なお、最新の24年版でも1位(同2330億ドル、約35兆円)の座を守りました。 LVMHの23年12月期決算は、売上高が861億ユーロ(約13兆7900億円)と過去最高でした。VIVA Technologyのスピーチでベルナール・アルノーは、「LVMHは投資会社の側面を持っている」と強調していました。業績に行き詰まったブランドを買収し、再生して価値を高めることを繰り返して成長してきたからです。それは、LVMHの買収の歴史と、最新の決算書を見れば明らかでしょう。 というわけで今回は、LVMHの買収の歴史と、財務諸表(B/S、P/L)を図解にして分析し、「ルイ・ヴィトングループ絶好調のワケ」に迫ります。
● LVMHの買収の歴史と 最新の決算書を見てみよう LVMHがどのように75もの高級ブランドを持つに至ったか。まずは、買収の歴史を振り返ってみましょう。日本でもおなじみの、人気ブランドが並んでいます。 続いて、LVMHの投資会社としての側面、買収の歴史をよく示しているのが、同社の貸借対照表(バランス・シート、B/S)です。図解にして確認してみましょう。 特に注目すべきは、左側にある「ブランド及び無形固定資産」と「のれん」です。合わせて約500億ユーロ(約8.5兆円)あり、総資産の35%を占めています。買収先の収益力や企業価値に基づいてブランドや商標権の価値を算定し、資産計上したものがブランド及び無形固定資産です。買収時に算定し直した時価ベースでの純資産以上のプレミアムを支払った場合、それは「のれん」として計上されます。 M&Aのニュースでは、この「のれん」という言葉をよく聞きますよね。LVMHは「のれん」だけでも、240億ユーロ(約4.1兆円)もあります。ざっくり言うと、「のれん」はLVMHがブランドを買収することで新たに期待できる収益の価値だと、とらえることができます。 「のれん」という単語は、企業において確立されてきた、ブランド力、信用力、顧客との関係などの目に見えない価値を表すもので、お店の軒先に掲げられる暖簾(のれん)に由来していると言われています。お店や企業において過去から積み上げてきた信頼、ブランド力や収益力の高さなどを含む、超過収益力が、目に見えない無形資産として会計上の専門用語でも使われるようになりました。※ ※引用元、参考文献 https://ma-succeed.jp/content/knowledge/post-3702