加賀屋、26年冬に新館 七尾湾沿い5階建て50室
●「あえの風」「虹と海」「松乃碧」は26年度再開 日本を代表する旅館の再建計画が固まった。能登半島地震で大きな被害を受けて全館休業中の加賀屋(七尾市和倉温泉)が、現施設に近接する七尾湾沿いに5階建て約50室の新館を建設し、2026年冬にも営業を始めることが分かった。近隣にあるグループの旅館「あえの風」「虹と海」「松乃碧(まつのみどり)」は修繕し、26年度の再開を目指す。渡辺崇嗣社長が24日、北國新聞社の単独取材に明らかにした。能登観光の中核をなす施設の再出発は復興に弾みをつけそうだ。 【地図】加賀屋の新旅館建設予定地 ●隈研吾さん設計 新旅館は現在の加賀屋から直線で西に約550メートル離れたグループ所有地に建設する。敷地面積約3万平方メートルのうち、4分の1を建設地に充てる。建物は5階建て延べ床面積8610平方メートルで、離れの整備も計画している。 全ての部屋が海を眺められる「オーシャンビュー」とし、それぞれの部屋に露天か半露天の温泉風呂を設ける。輪島塗の沈金体験など伝統文化に触れられるスペースも用意する。設計は建築家の隈研吾さんが担当する。 現在の加賀屋の建物4棟「雪月花」「能登渚亭」「能登本陣」「能登客殿」の活用方法は未定で、「雪月花」の特別階「浜離宮」の一部など、新旅館への移設が可能かどうかも検討する。 「あえの風」「虹と海」「松乃碧」の3旅館については、修繕を終えた施設から順次再開する。建物で損傷のひどい部分については一部解体する可能性もあるという。 加賀屋グループは再建に合わせて、新旅館と既存の3旅館のブランディングの再構築に取り組む。それぞれの旅館のコンセプトや価格帯、料理、しつらえなどを整理し、幅広い客層の多様なニーズに対応する方針だ。 渡辺社長は震災から間もなく1年となることから再建の道筋を示したとし「加賀屋らしさを引き継ぎながら、新しいものを加えた加賀屋を見てもらいたい」と話した。 ★加賀屋 1906(明治39)年、現代表取締役小田禎彦氏の祖父、與吉郎氏が七尾市和倉温泉で創業。「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で総合1位を通算40回以上獲得するなど、もてなしや料理、企画、施設が国内外で高い評価を得ている。グループは石川県内外で日本料理店、洋菓子店なども展開している。