ベッドで寝たままシャワーができる新製品 従業員17人…家電メーカーの挑戦
高齢化社会は、どの国もやがて直面する問題。亀井さんが世界戦略をにらんで目を付けた国が、人口約1億人のベトナム。社会主義国だが経済はオープンで、成長率も安定、将来性のある国だ。アセアン諸国と自由貿易協定を結び、地理的にも物流の拠点となっている。アセアンの総人口は約7億人という巨大市場で、亀井さんはベトナムこそ、今後東南アジア躍進のカギを握る国だと考えていた。 首都ハノイに乗り込んだ亀井さんは、ベトナム有数の複合企業・ヴィングループが経営する「ヴィンメック病院」へ。国内に9つの施設がある富裕層に人気の病院だ。実際に「スイトルボディ」を使ってみせると、反応は上々でしばらく使ってもらえることに。 その後は、ベトナム経済の中心地・ホーチミンへ渡り、ベトナム財界の重鎮や現地在住の日本人実業家を招いてプレゼンする。亀井さんは近い将来、ベトナムにも工場をつくりたいと考えていた。
翌日は、日本の介護施設に人材を送り出している機関「バラエン」へ。日本語の授業を受けている学生さんたちにも「スイトルボディ」を知ってもらおうと考えたのだ。 しかし、亀井さんがお手本を見せ、実際に使ってもらうと、なぜか背中が水浸しに。「調子が悪いな。吸わないんだわ」と亀井さん。発売まで残り2カ月足らずで、試作品の不具合が見つかってしまう。ベトナムに滞在中、日本の本社からも、不具合がある試作品が何台か見つかったとの連絡が入った。
「我々が検品したものが不良品だったら我々の責任。メード・イン・ジャパンの意地にかけてもきっちり生産しなくては。闘いですよ、ここからは。従業員にも厳しく言わないといけないし、サプライヤーにも厳しく言わないといけない。1回なくなったメード・イン・ジャパンの復活はなかなか大変」。
埼玉県にあるシリウスの事業所兼工場に、ベトナムで不具合を生じた24号機が送り返されてきた。作動させてみると、吸引動作はしているものの、やはり吸えていない…。原因を探るために部品を一つずつばらしていくと、ゴムパッキンが一つ欠落していたことが分かった。原因が判明したので、後は改善するだけだ。