ベッドで寝たままシャワーができる新製品 従業員17人…家電メーカーの挑戦
狙うは「ブルーオーシャン」!
千葉県にある、特別養護老人ホームの入浴は週2回。全国で入浴介助が必要な人は、現在約230万人いるという。入浴介助は普通2、3人で行い、かかる時間は約30分。お湯は1回に1000リットルも必要だ。超高齢化社会を迎えた日本の介護の現場では人材が不足し、サービスの低下が懸念されている。 この問題に目を付けたシリウスは、「入浴の手間を少しでも軽減させたい」と、施設で開発中の製品「スイトルボディ」を試してもらうことに。 「スイトルボディ」は、寝ながらにして体が洗えるというもの。温度を42度に設定すると、数分でシャワーヘッドからお湯が出てくる。周りがびしょびしょにならないのは、お湯を噴射すると同時に吸い込んでいるから。シャワーヘッドの真ん中からお湯を出し、スポンジの隙間から吸い上げる…あのヒット商品「スイトル」の技術を応用しており、現在特許を申請中だ。ボタンを切り替えるだけで専用ソープも出てくるため、髪の毛も洗うことができる。この日は、頭から足まで6分46秒で洗い終えることができた。 一人を洗うのに、水はわずか1リットルあれば十分だが、亀井さんは「吸い込む量とお湯の噴出量の最適化を図っている。まだまだ改善の余地がある。一石を投じる意味で今年4月に発売したい」と話す。
1月11日、シリウス本社。「スイトルボディ」の開発には、中国や台湾の企業にも協力を仰いでいた。デザインや設計は日本で行い、海外の工場で形にしてもらうが、最終的な組み立てと検品作業はシリウスが受け持つ。検品することで品質を保証し、メード・イン・ジャパンを名乗ることができるのだ。まずは営業用に50台の試作品を用意した。 1月17日のお披露目から、本格的に社運をかけた闘いが始まった。これまで世になかった商品に、メディアも注目する。価格は18万円台にしたが、亀井さんは日本での販売だけでなく、海外市場も視野に入れていた。「太平洋、大西洋、インド洋、“3つの洋”が合わさって三洋電機。三洋電機は、日本では先行するメーカーにはかなわない。だけど、(三洋電機の創業者は)海外では勝っている会社にしたかった。なんとか『メード・イン・ジャパンここにあり』という商品にしたい」。