長谷部誠29歳「人間として納得しないんです」“年俸大幅ダウン移籍”のち降格危機…なぜW杯直前ドクターストップでもチームに尽くしたか
W杯は大きな大会ですが、このチームで…
ドクターから「フル出場は無理」と言われており、出場時間の制限をかけられた状態でシャルケ戦に先発した。ところが、試合中にニュルンベルクから2人も負傷者が出てしまった。当時は1試合で交代できるのが3選手だけという時代だ。当初の予定とは異なり、長谷部は最後までピッチに立つことになった。 ただ、およそ4カ月のブランクがあり、ベストコンディションにはほど遠かった。すでに歯車の狂っていたチームを、あの状況で立て直すのはスーパーマンでも無理だっただろう。結局、1-4の大敗を喫して、2部降格が決まった。 「今シーズン、チームがそれなりの移籍金を払って自分を獲得してくれたわけで。その中で前半戦は1度も勝てなくて、後半戦は怪我で今日の試合しか出られなかった。非常に責任を感じています。みなさんは、W杯について聞きたいのでしょうけど……」 試合後に沈痛な面持ちを浮かべた長谷部は、記者にそう釘を刺した。 「もちろん、W杯は僕にとっても大きな大会だと思いますけど、このチームで戦うことも大事だから。自分の中で『今は勝負どころだ』と思って試合に出ました。この試合に行ける、行けないというよりは、(再発の)リスクを冒すか、冒さないかというところだったので。自分は今、このチームのために出来ることをやらないといけない。そうしないと自分のためにもならないから」
自分は人間として納得しないんです
長谷部の日本代表への想いの強さはここで改めて語るまでもないだろう。何より、ニュルンベルクへやってきた理由の一つは、ブラジルW杯でチームを勝たせるような選手になるためだった。 ただ、個人的な想いの前に、果たすべき責任が長谷部にはあった。 「このチームで戦うことをおろそかにしたら、自分は人間として納得しないんです」 試合後に発したその言葉に、長谷部の生き方がつまっていた。<つづく>
(「核心にシュートを!」ミムラユウスケ = 文)
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