11月3~7日は「いいさかなの日」、魚食文化つなぐ活動…市場でさばき方学ぶ・中学校の授業でレシピ開発
11月3~7日は「いいさかなの日」。海に囲まれた日本には、豊かな漁場に恵まれ受け継がれてきた魚食文化がある。魚離れが進む中、未来へつないでいこうという活動が進められている。(江口朋美) 【写真】「志摩の海鮮丼屋」では旬の地魚を使った料理と一緒にワインを味わえる
九州近海から約300種の魚介類が集まる福岡市の長浜鮮魚市場で10月中旬、魚のさばき方を学ぶ「おさかな学校」が開かれた。この日は、対馬沖で取れたサバが並んだ。
「釣ってすぐに締めているから鮮度がすごくいい。ウロコが残っているので丁寧に取って」
仲卸業者の有志でつくる「博多銀鱗会」のメンバーである竹島久喜さんが調理室で実演。その後、参加者は同会メンバーの手ほどきを受けながら三枚おろしに挑戦した。
地球温暖化による魚への影響や、水揚げされたばかりの約10種の魚についての説明もあった。福岡県岡垣町の石田望さんは「切り身を買うことが多いので貴重な機会。色々な話が聞けて楽しい」と笑顔を見せた。
福岡を中心に魚食普及に取り組むプロジェクト「サカナグミ」の一環。代表の本田淑子さんは、魚食関係のテレビ番組でディレクターを務めていた際、若者の魚離れをひしひしと感じた。番組終了後も「魚の魅力を広めたい」と、2016年から同会などの協力を得て活動を続けている。
参加費は3000円で、次回は15日。料理研究家・古川年巳さんから調理法を習うクラスや、子ども向けの教室も開く。本田さんは「いつもの食卓に自分でさばいた魚を並べて、家族や友人と味わってほしい」と語った。
魚介類は健康への効果も期待されるものの、国内消費量は11年度に肉類と逆転し、その後も減少傾向が続く。水産庁は22年10月から毎月3~7日を「さかなの日」に制定し、水産物の消費拡大を進めている。
同県宗像市では、ボランティア団体「魚さばき隊」が子育て中の母親らに教室を開くなど、若い世代への継承に力を入れる。市内の中学校では、授業で地元のアジを活用したレシピ開発に取り組む。担当する橋本良子さんは「宗像の新鮮でおいしい魚を知ってもらい、魚離れを食い止めたい」と語る。