【解説】アメリカ大統領選挙 選挙より裁判?トランプ氏めぐり“異例”ずくめ
■民主党候補 現職に対抗馬なし
一方、与党・民主党は現職のバイデン大統領が再選を目指し立候補を表明している。「史上最高齢」で健康などを不安視する声もあるが、有力な対抗馬はおらず、事実上、バイデン氏で決まりという状況だ。
■11月本選挙 “高齢者対決”か
11月の本選挙ではトランプ氏(77)とバイデン氏(81)が再び対決する可能性が高まっている。4年前と同じ“高齢者対決”には不満の声もあり、閉塞感すら漂っている。
■トランプ氏逮捕!? “異例”の大統領選挙
ただ今回の選挙戦はトランプ氏をめぐり“異例”の展開となっている。トランプ氏は現在4つの事件で起訴され、91の罪に問われているのだ。 1つ目が、2016年の大統領選挙直前に過去の不倫関係を主張するポルノ女優に口止め料を支払ったとされる事件。 2つ目が、大統領を退任する際、違法に機密文書持ち出し、自宅に保管していたとされる事件。 3つ目が、2020年の大統領選挙の結果を不正に覆そうとし、議会の手続きを妨害したとされる事件。 そして同じく2020年の大統領選挙の際、ジョージア州の選挙結果を覆そうとした事件でそれぞれ起訴されている。 トランプ氏はこれまで、「バイデン政権の政治的迫害だ」などと自身が“被害者”だと強調することで、支持層の共感を集め高い支持率を維持してきた。 こうした主張が受け入れられる背景には、このうち2つの事件は起訴した検察官がそれぞれ民主党員だったことなどがあると専門家は指摘する。
■選挙戦と裁判が並行する異例
これらの事件をめぐる裁判は、選挙戦と並行して行われる予定だ。トランプ氏は盤石な支持層に支えられているものの、ニューハンプシャー州の予備選挙では、無党派層の6割がヘイリー氏を支持した。11月の本選挙でトランプ氏が勝つためには無党派層の支持が必要だが、トランプ氏が裁判で有罪になった場合には、さらに取り込みが難しくなると指摘され、波乱も予想される。
■「有罪」でも立候補できる!?
ここで浮かぶのが、仮にトランプ氏が「有罪」になった場合、大統領選挙に立候補できるのか、という問いだ。アメリカメディアでは、仮に有罪判決を受けても立候補は可能とする見方が大勢だ。 実は大統領の要件について、合衆国憲法には①アメリカ生まれのアメリカ人、②35歳以上、③アメリカに14年以上住んでいること、としか定められていない。アメリカメディアによると、過去には刑務所に収監されたまま立候補した人もいたという。 よって仮に有罪になったとしても立候補できるとみられるが、今、トランプ氏をめぐり新たな問題が浮上している。そもそもトランプ氏に「立候補資格がない」と判断した州が出始めているのだ。