『アド街』が30年目に突入。「徹底的に話を聞きまくる」姿勢が“愛され続ける秘訣”か
今年で放送開始30年目を迎える人気情報バラエティ番組『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系/以下、アド街)。1995年から番組を企画・制作する制作プロダクション・ハウフルスの堀江昭子ディレクターに、制作秘話や変わりゆく街を取材するうえでの苦労などを聞いた。
取り上げる街は「最低でも2週間は下見」
まず、気になるのは、どれくらいの期間で1本あたりの放送分を取材して、放送に至っているのかということ。 「番組には7~8人のディレクターがいて、1人のディレクターと2人のADが1本まるまる担当します。最低でも2週間は下見。そこから街の方にお話を聞いて、ロケの許可取りなどをして、ロケをさせていただき、編集作業。1番組を作るに当たって、最初から最後まで2カ月かかります。いろいろなエリアで今日下見をしているチームもあれば、取材に入っているチームもあれば、編集をしているチームもあります」(以下、堀江昭子ディレクター) 街の情報を収集するとき、ディレクターによってやり方はさまざまだというが、例えば、商店街の会長さんや街の顔役などに挨拶に行き、話を聞いてから下見をスタートしたり、八百屋さんなどでリンゴを買ったついでに話をしたり、お客さんとして美容室で髪を切ってもらいながら話を聞いたりなど、とにかく徹底的に話を聞きまくるという。街の良さやシンボリックなもの、大好きな店、熱意を注いでいるお祭りなど、どれくらいの熱量で街の人がそれぞれのスポットを愛しているかを調べていくのだ。 「他の番組だと、番組終了時のクレジットで何人ものディレクターの名前が載るのが多いのですが、アド街は、ディレクターの名前は基本1人です。少し特殊なのですが、1人のディレクターがひとつの街を歩いて調べないと、目線がブレてしまうんです。1人のディレクターの感性で作らないと、その街の魅力が出ない。複数のディレクターで作るとどうしても伝えたいことがボケてしまいますので」