『アド街』が30年目に突入。「徹底的に話を聞きまくる」姿勢が“愛され続ける秘訣”か
再開発で街の個性がなくなる昨今、アド街も試練の時…
メジャーな街からあまり知られていないような街まで、取り上げる街もさまざまだが、街の人に話を聞いている下見段階で、「こんな何もない街、なんで来るの?」「ベスト20も取り上げるスポットあるの?」などと言われることもあるそう。 「ちょっとマイナーな街を取り上げると『本当によくベスト20も集めたね』とよく言われます。ただ、“灯台下暗し”で、街の人でも知らない場所があったり、地元の人からは重視されていないけれど魅力的な場所があって。その街を外から見ている私たち取材者にとっては、『ここ、すごく素敵じゃない!』というスポットがたくさんあるんですね。地元の人が気づいていない魅力を掘り起こすことも、この番組の使命だと思っています」 最近では再開発で街の様相もどんどん変わってきている。渋谷や六本木、下北沢など、30年余り番組を制作していくなかで、昔の映像と比較するような回も増えている。 「変わりつつある街を切り取ることも、アド街という番組の性質のひとつですね。寂しいことですが、再開発でどこも同じような街になって、個性がどんどん消えていっているので、そこがアド街の試練でもあります。その街の個性をどう打ち出すか?という事がかつてより難しくなってきていますが、街に住む人、働く人がいる限り、その街の魅力を見つけなければいけないと思います」
「取り上げる街にわざわざ行ってくれる」峰竜太さん
現在の出演者は、「あなたの街の宣伝部長」である司会の井ノ原快彦さん、MCの中原みなみアナウンサー、レギュラーパネリストに峰竜太さん、薬丸裕英さん、山田五郎さんという布陣となっている。毎回、街に関する山田五郎さんの詳しい解説には舌を巻くが、峰さんや薬丸さんもいろいろな街を訪れ、独自の見解を披露してくれるところも、アド街の魅力のひとつだ。 「峰さんは取り上げる街にわざわざ行って、『こんな場所に行ってきた』という話をしてくれます。先日も、暑いなか最低1時間は並ぶラーメン屋に『並んで食べてきたよ』と仰ってくれました。薬丸さんもいろいろな街に行かれていて、全然有名ではない店を知っていたりしますね。五郎さんは全方位で知識がある方ですので、本当に信頼しています」 1995年の放送開始から2015年までの20年間は、故・愛川欽也さんが司会を務めていた。井ノ原さんに司会が変わっても、2人に共通している「街の人へのリスペクト」が、アド街を好感度の高い番組にしてくれていると堀江ディレクターは言う。 「お二人とも街や街の人へのリスペクトに重きを置いていて、すごく素敵ないい方という共通点があります。そこが変わらなかったからこそ、アド街から視聴者が離れることなく、愛されている番組になったとも思っています。特に井ノ原さんは物事をポジティブに捉える方なので、街の人の色んな人柄を見抜いて、愛情たっぷりなコメントをするので、より街が輝いて見えてきます」