にしおかすみこさんと考える「親との向き合い方」。未来はイメージしすぎないのがいい
「最近、急に親が老いた気がする」と不安を抱える人に子世代が今からできることとは? 認知症の母、ダウン症の姉、酔っぱらいの父とのユーモアいっぱいの日々を綴ったエッセイ『ポンコツ一家』が書籍化され話題になっているにしおかすみこさん。老いゆく親と向き合ってきたにしおかすみこさんにお話を伺いました。 【写真】にしおかすみこさんと考える介護・実家のこと
にしおかさん流!思いつめずに親と向き合う3か条
にしおかさんに「親と向き合う3か条」を教えてもらいました。
●1:「できるところ」を見るようにする
できないことが増えていく親に対し、「できるところを見るようにしている」というにしおかさん。「私も今年50歳で、体力は落ちるし、物忘れもする。だからといって、そ こばかりを見られたらやっぱりイヤだから」
●2:あえて「忘れる時間」をつくる
疲れを感じたらおいしいものを食べて元気をチャージ。「お金はないけれど、そのときだけは値段のこと、家族のことは考えません。『みんなは私のつくりおきのおかずなのに…』と思うと楽しくないから、一回、忘れます」
●3:「悪」を取ったグチならOK!
「悪口から『悪』を取ったのが『グチ』」というのは、にしおかさんのお母さまの名言。にしおかさんも、「私は聞いてもらうとラクになるタイプなので、グチはこぼす」そう。時に、吐き出すことも大切です。
未来のイメージをしすぎないことも大切
―エッセイのタイトル『ポンコツ一家』に深い愛を感じます。家族を愛おしいと思うのはどんなときですか? にしおかすみこさん(以下、にしおか):そうですね。外出する母と姉が2人、手をつないでいる姿を見ると、愛おしいなぁと思います。後ろから見ると、ちょっとした小山ともう少し大きい小山が並んでいるんですよ。そんな背中を見ながら後ろからついていくのは好きですね。あと、たまに姉につき合って母と私と姉と3人でトランプするんですが、姉と母はキャッキャ笑うんです。ただのババヌキでそこまで笑う? と思うんですけど、「なんかいいな」「このまま続けばいいのに」と思います。続くと困ることも多いんですけど(笑)。 ―この先のことはどうイメージしていますか? にしおか:将来を想像すると、どうなってもお先真っ暗。考えただけでヘトヘト。どうなるかわからない未来に疲れても仕方ないから、考えないようにしています。考えるのは「母と明日の朝ごはんを一緒に食べられたらいいな」くらいのことまでです。 ―あまり考えすぎないことも大事なんですね。 にしおか:自分もポンコツだし、すべては抱えられない。だから、どうしても無理になったら、家を出るのも選択肢のひとつとは思っています。母と姉は、たとえゴミ屋敷であろうと最後まで一緒に家にいたい人。2人を見ているのがつらかったら、私が離れればいいと思うんです。…介護サービス等にお世話になりながら、通いで見守るかなあとか、まだまだ模索中です。 ―最後に、親の介護や実家の問題に直面している方にメッセージをお願いします。 にしおか:私も絶賛迷子中なので、教えていただきたい側ですが、とにかく自分を大事にすること。どんな立場や状況でも、「自分ファースト」「自分びいき」でいいと思います。
ESSE編集部