能登出身・大の里が語った「決意」…62年ぶりの「勧進相撲」で力士たちが魅せた「意外な一面」《両国国技館がコンサート会場に⁉》
相撲王国・石川のために
今年1月1日夕方に能登半島を襲った、大規模な地震。 それから3ヵ月ほどが過ぎた現在も、復興はなかなか進まず、被災した住民の生活は困難を極めている。 【写真】遠藤、高安、照ノ富士…さらにはOBの 高見盛や鶴竜、栃煌山が躍動! そうした被災者を元気づけようというコンセプトのもとに、4月16日、東京・両国国技館でおこなわれたのが、能登半島地震復興支援勧進相撲だ。 あまり聞き慣れない「勧進相撲」とは、寺院や神社などの建立、修繕などの資金を募る目的で、観客に相撲を見せることを指す。古くは室町時代から開催されていて、前回おこなわれたのは、62年前の1962年のこと。長いブランクを経て、相撲界一体になっての支援活動が実現した。 石川県からは、かつて横綱・輪島(七尾市出身)、大関・出島(現・大鳴戸親方=金沢市出身)らを輩出。アマチュア相撲にも力を入れている同県は、「相撲王国」との呼び名も高い。 現在は、先場所、優勝争いを繰り広げた幕内・大の里(津幡町出身)、イケメンの遠藤(穴水町出身)、スケールの大きな相撲を取る輝(七尾市出身)、十両で将来を期待される欧勝海(津幡町出身)をはじめとした関取衆に加え、小兵で人気を博した炎鵬(金沢市出身)などがいて、勧進相撲に来場したファンを出迎えた。また、記念の大入り袋も配られた。 そして、開場まもない13時から、各関取は国技館内の廊下で、写真撮影や握手のファンサービスに励んだ。
「家族になろうよ」「ライジングサン」「昴」
人気が高かったのは「将来の横綱」と期待される大の里と、遠藤。 「直接、ファンの方と触れ合えて、熱い思いを感じました。地元の人を盛り上げるために、できることはなんでもやりたい」(大の里) 2階では、遠藤が女性ファンに囲まれて、記念撮影の長打の列ができていた。千葉県から来場した50代の女性は、「遠藤関とこんな近くで触れ合えて、本当にうれしい。来てよかったです」と、興奮気味に語った。 また、元大関・朝乃山(富山市出身)も、ファンにもみくちゃにされていた1人。 担当親方の、「もう、お時間ですので、写真撮影は終了です」との呼びかけに、「まだ写真、撮れてないです。時間を延長してください!」などと、悲鳴のような声が飛び交ったほどだった。 第1幕の「熱唱のど自慢 ~北陸に掲げる応援歌~」は5人の関取衆(大栄翔、阿武咲、輝、平戸海、髙安)が、自慢のノドを披露した。 3人目に登場した輝は、福山雅治の「家族になろうよ」を熱唱。 「人前で歌うのは、あまり得意じゃないんですが、地元、そしていらしてくださった方のために、恥ずかしさに堪えて歌いました(笑)」とのことだったが、曲の途中からは、左右に腕を振るパフォーマンスを見せると客席はひとつになり、館内は和やかな雰囲気に包まれた。 4人目は、幕内・平戸海の「ライジングサン」(エグザイル)。照明が落とされ、ペンライトやスマホのライト機能が振られて、さながらコンサート会場に様変わり。 トリは、相撲界で歌唱力ナンバーワンの呼び声が高い、元大関・髙安の「昴」(谷村新司)。父親が同曲を好み、髙安本人も子どもの頃から好きだという歌声は圧巻で、ファンを魅了させた。 そんな髙安には特別な想いがあったという。 『「能登の祖父の家は取り壊すことになりました」炎鵬が語る「悔しい気持ち」…震災復興へ「力士」たちが明かす「知られざる思い」』に続く…
武田 葉月(作家)