タリーズ 、「コーヒーの2050年問題」に立ち向かう持続可能な挑戦を発表
タリーズコーヒージャパン(以下タリーズ)は9月4日、ブランド方針発表会で「コーヒーの現状とタリーズのショップ戦略」について発表した。コーヒー業界全体を揺るがす「コーヒーの2050年問題」に対し、5つのプロジェクトで持続可能なコーヒー豆生産・提供を目指すという。 「コーヒーの2050年問題」とは、国際的な研究機関であるワールド・コーヒー・リサーチ(World Coffee Research、以下WCR)が、温暖化などによりコーヒー豆の主要品種であるアラビカ種の栽培に適した土地が2050年には半減する可能性が高いと警鐘を鳴らしていることを指す。これにより今後コーヒー豆の供給量減少、相場の高騰が懸念されている。
持続可能なコーヒー生産に向けたプロジェクト
タリーズではこの2050年問題を受け、以下のようなプロジェクトに取り組んでいる。 長期プロジェクト 「苗からはじめる産地開発」:ブラジルのバウ農園の専用区画に希少品種「レッドブルボン」を栽培。 「接ぎ木プロジェクト」:ティピカ種とロブスタ種で接ぎ木する栽培方法を、現在ティピカ種が残っている産地であるペルーを中心に展開する。 開発・品質向上プロジェクト 「生産方法の指定・指導」:世界各地で収穫から精製までのプロセスをアドバイスし、品質維持・向上を目指す 「カッピングコンテスト」:グァテマラ全土の小規模生産者を対象に品質コンテストを開催 「マイクロロットプロジェクト」:コスタリカのドータ農協でドータ農協で、小規模生産による最高品質のコーヒーを作り上げるプロジェクト 中でも注力する「接ぎ木プロジェクト」では、絶滅寸前のティピカ種を保護することを目的としている。ペルーのセンフロカフェ農協とタッグを組み、2018年にプロジェクトを構想、2019年からテストを開始している。病害虫に強いロブスタ種の根を接ぎ木にして栽培し、持続可能なコーヒー豆生産を実現するという。 「リスクのある品種だが、よい結果が得られたため10月から2025年2月にかけて農地を拡大する予定だ。10ヘクタールまで農地を拡大し、2027年頃の商品化を目指している」と伊藤園で原料部の副部長を務める南川剛士氏は話す。 同社の2023年度の売上規模は、ショップと一般流通店を合計し、850億円だった。スターバックスコーヒー、コメダ珈琲に次ぐ、ドトールコーヒーと同等の規模を誇る。コロナ禍で店舗数と売上高は減少したものの、2023年度は過去最高の404億円を突破している。 文/坂本凪沙 写真/タリーズコーヒージャパン提供
坂本凪沙