進化するミシュラン授賞式、フランス料理「セザン」が新三つ星に
2007年にアジア初のミシュランガイドとして登場した東京版の出版から17年。ミシュランガイドの授賞式が新しくなった。 1900年に初版が発行され、星の評価が始まったのは1926年、一つ星から三つ星までの三段階評価が生まれたのが1931年。「星付きレストラン」は、約100年前から存在していた。しかし、伝統を守りつつ革新を続けるミシュランガイドは、今東京から大きく変わろうとしている。 ■よりサステナブルでインクルーシブなアワードへ 「普段人をもてなす側のシェフをはじめとするレストランの皆さんを、私たちミシュランがおもてなししたい」と、日本ミシュランタイヤの須藤元代表取締役社長は語り、「レフェルヴェソンス」の生江史伸シェフをはじめ、サステナブルなレストランに授与される「グリーンスター」に輝く店などが小皿料理を提供する「プレミアムカクテル」の時間が設けられ、シェフ同士の交流が図れる場が提供された。 昨年からはソムリエアワードが、今年からはサービス責任者に与えられる初のサービスアワードが創設された。レストランはチームワークで成り立つもの。シェフだけに注目するのではなく、レストランを支える人々にもスポットライトを当て、よりインクルーシブなアワードになったと言えるだろう。 初のサービスアワードを受賞したのは南仏の三つ星「ミラズール」のマウロ・コラグレコシェフが手がける「スィークル」で支配人を務める安井理恵氏。もともとスペインの三つ星店「レストラン サン・パウ」のサービス責任者を務め、日本語はもちろん、英語やスペイン語を流暢に操り、くつろげる食体験を提供する。 受賞に際し、安井氏は「レストランの評価は、料理半分、サービス半分だと思って仕事をしています。この賞は、サービスに携わる人たちを代表していただいたもの」と語った。 また、もう一つインクルーシブだと感じたのは、デザートコースを提供する店に星が輝いたことだ。季節のフルーツを生かした6席だけのアシェット・デセールの店「山」が一つ星に輝いた。また、同様のコンセプトの「ハルカム ロオカ」も注目のレストランを意味するセレクテッドレストランに選ばれた。 女性シェフによる星付き店がまだ少ない中、ペストリーシェフには比較的女性が多い。星に輝く女性シェフが増えることにもつながっていくかもしれない。「ハルカム ロオカ」の室岡春香氏は「目の前のお客様に楽しんでいただくことを大切に、星を目指して頑張りたいです」と語っている。