イスラエルのネタニヤフ首相「ヒズボラ再武装なら攻撃」…アメリカ仲介で60日間の停戦発効
【ワシントン=池田慶太、エルサレム=梁田真樹子】米国のバイデン大統領は26日に記者会見し、レバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエルの戦闘を巡り、イスラエル、レバノン両政府が米政府の仲介した停戦案に合意したと発表した。合意は27日午前4時(日本時間27日午前11時)に発効した。発効の直前にもイスラエル、ヒズボラ双方の攻撃が報じられており、合意の実効性が今後の焦点となる。
米政府高官によると、合意では60日の停戦期間を設け、この間にイスラエル軍が段階的にレバノン南部から撤退するのと並行し、レバノン軍が南部に展開する。ヒズボラはリタニ川以北へ撤退し、以南にあるヒズボラの重火器は撤去される。
2006年に設けられた国連レバノン暫定軍(UNIFIL)、イスラエル、レバノンによる停戦監視の枠組みに米国とレバノンの旧宗主国フランスを加え、米国主導で合意の履行状況を監視する。
イスラエルとヒズボラの対立は根深く、合意プロセスが順調に進むかは不透明だ。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、合意発表に先だつ26日の演説で「ヒズボラが合意に違反し、再武装しようとする場合は攻撃する」と警告した。バイデン氏もヒズボラ側の合意違反が確認されれば、イスラエルが自衛権を行使できると説明した。
AFP通信によると、合意発表後の26日夜、ヒズボラはイスラエルの商都テルアビブの軍関連施設に対する無人機攻撃を実施したと発表。イスラエル軍も合意発効直前の27日未明、レバノンの首都ベイルート南郊を空爆した模様だ。
ヒズボラはパレスチナ自治区ガザのイスラム主義組織ハマスとの連帯を掲げ、昨年10月以降、イスラエルと交戦してきた。イスラエルは今年10月、レバノンへの地上侵攻を開始。イスラエルの国家安全保障研究所などによると、戦闘の結果、死者はイスラエルで118人、レバノンで3823人に及ぶ。イスラエルでは約6万8500人、レバノンでは約120万人が避難を強いられている。