いかに行列のできる店作りをするか 芦屋のデザイン事務所社長の思い
楽しい感じで来た人は、楽しい店にしか行かない
「大体はデザイナーの自己満足の世界で、デザインに根拠はないですからね」と語る大西さん。しかし、個人店舗もよりも、チェーン店舗のほうが店づくりは難しいのではないだろうか。 大西さんは「イオンのフードコートでもそうですが、お客さんは何を食べるか、最初に決めているんです。お好み焼きか、ピザか、肉か、カレーか。カレーを食べたい人は、フードコートをぐるっと回っても、最終的にはカレーを食べるんです」と話す。 そして「そのときに大事なのは、店舗の外観、明るさ、飾り付け。そしてインパクト。五感で感じさせることです。ユニバーサルに入っている店舗(京都勝牛)の設計のときでも、僕らは8時間くらい店の前でずっと観察していました。人が流れる導線を見て、ぼうっと見てるだけですが、そうすると、だんだんわかってくる。楽しい感じで来た人は、楽しい店にしか行かないんです」と戦略を明かした。
インスタ映えなどの戦略はもっとあとからついてくるもの
さらに「行列ができる店には7つのポイントがある」と指摘する。失敗も含め、これまでの経験から学んだ重要なポイントだという。 「商業施設の場合だと、まず1つ目が天井まで壁のない外観・インパクト。2つ目は飾り付け。ファミリー層が相手だと、飲食店を決めるのは子供たちで、ターゲットは大人ではない。そういうデコレーションですね。それから3つ目が広い間口。間口が狭い店はまず苦しいと思います。4つ目は店舗の明るさ。明るいと早い段階で気づきます。5つ目が地域性、6つ目が客層の合致、最後の7つ目は五感で感じる事のできる店です」 高齢者しかいない地域にヤングの店を作っても仕方がない。同社は工事はしないが、徹底した事前リサーチを行うことで理想的な繁盛店を設計していく。インスタ映えなどの戦略はもっとあとからついてくるものだという。 「個人店舗さんで3~4年経って行列ができるケースもあるでしょう。その間に悩んで考え、学ぶからです。僕らは最初からいかに行列のできる店にするか。オープン前からすでに情報を発信し、しかけていきます。デザイナーは自分を前に出したがるけど、それではエンドユーザーには伝わらない。お洒落なお店をつくって月に1回来てもらってもダメ、普段から来られる店にしないと。自分のデザインを殺すことによって、エンドユーザー目線になることが繁盛店の一番の近道だと思います」