じつは、海底火山の「断面」は自宅で再現できる…「岩石のプロ」が教える「驚きの方法」
海底の山
ここからは、海底の地形、とくに海底の山に注目します。前述のとおり、海底には深さ約4000mの領域が多いのですが、じつは巨大な山も数多く存在します。海底で火山活動が起きているからです。火山活動をくり返した結果、山体が成長し、頂上が海面より上に出ることがあります。これらは島となります。ただ、海底火山の多くはそこまで成長しておらず、海の下に隠れています。 海底火山はそのでき方によって、3タイプに大別されます。簡単に紹介しましょう。 1つめのタイプは中央海嶺。これは海洋地殻を生み出す火山列です。中央海嶺で噴き出すマグマが冷え固まると玄武岩となり、これが海洋地殻を構成しています。海底地形図(図4)では、太平洋の東部や大西洋の中央部などに色の濃い帯状の模様が見て取れますが、これらが中央海嶺です。 2つめはホットスポットです。ホットスポットは中央海嶺のような線状の活動帯ではありません。ぽつんと孤立した火山が形成されます(ホットスポットが形成されるのは、海だけとは限りません)。ただし、プレートが動くために、活動を終えたホットスポットが列をつくるので、火山列ではなく海山列が残ります。もっとも有名なホットスポットはハワイです。 そして最後は、沈み込み帯の火山です。沈み込み帯とは、海のプレートが別のプレートの下に沈み込む領域のことです。プレートの沈み込み口が海底に長い溝をつくり、この地形は海溝とよばれます。沈み込み帯の上側のプレートには必ず、海溝と平行に火山列が形成されます。その成因は、プレートの沈み込みが引き起こすマグマ活動ですが、これについては別の機会に説明しましょう。沈み込み帯の火山列は海だけでなく陸にも形成されます。 沈み込み帯の火山としてわかりやすいのは、日本列島の火山です。列島の下には東からは太平洋プレート、南からはフィリピン海プレートが沈み込んでいるため、火山列が形成されているのです。陸上の火山だけでなく、伊豆・小笠原諸島として知られる島々も、プレートの沈み込みが形成した火山列です。