じつは、海底火山の「断面」は自宅で再現できる…「岩石のプロ」が教える「驚きの方法」
地球内部の層構造:地殻・マントル・コア
地球の中には層構造があることが知られています。大きく分けて、地殻・マントル・コア(核)の3層です。これらの規模も図示してみましょう(図2)。 地球中心を占めるコアは金属鉄のかたまりです。その鉄球の大きさは、半径約3,500 kmです。コアはさらに2つの層に分かれていることが知られています。 内側の内核は固体の金属鉄でできていて、外側の外核は液体の金属鉄です。内核の半径は約1,200km、外核の厚さは2,300kmと推定されています。図1の半径6.4cmの地球断面に重ねて描くなら、内核は半径1.2cmの円、コア全体は半径3.5cmの円となります。 コアの外側は、マントルという層です。マントルは全体がかんらん岩という岩石で構成されています。この層の厚さは約2,900km。地球半径の半分に満たないものの、体積は非常に大きく、地球全体の80%以上を占めます。断面図(図2)ではコアが目立ちますが、地球内部の大部分はマントルです。 マントル内部にも層構造があることが知られています。内核と外核ほど大きなちがいはありませんが、深さによって主要な鉱物の種類が異なるのです。マントル内部の層構造については、廣瀬敬先生による記事が参考になります。 マントルの外側、つまり地球内部の一番外側に位置する岩石の層を地殻といいます。図2には、地殻が描かれていないように見えるかもしれません。その理由は、図1でエベレストを表す三角形が見えないのと同じです。地殻は薄すぎて、この図では線にしか見えません。 ここからは、この薄い岩石の層、地殻に注目します。断面図上ではとるに足らないように見える層ですが、たいへんに興味深い存在です。
地表の凸凹
地球の形を「球」としてきましたが、地表にはさまざまな凸凹があります。ここまで見てきたように、地表の凸凹は地球全体と比較すると無視できる規模にしかなりません。それでも、私たち人間の感覚からすると非常に大きい凸凹も多く存在します。 人工衛星を用いた測量技術の高精度化により、地表の高さはセンチメートル単位で把握できるようになりました。 たとえば、先ほど約8,800mと表したエベレストの標高は、より厳密な測定結果が知られています。2020年に中国とネパールが共同でおこなった測定の結果、8,848.86 mという値が得られました。 人工衛星を用いた測量は精度の高さだけでなく、時間変化を追えるという利点もあります。同じ地点をくり返し観測をおこなうことで、微小な地殻変動の傾向を発見することができるのです。 たとえば、東から移動してくる太平洋プレートに押され、日本列島の東北地方に設置された電子基準点が水平移動する様子が観測されています。1997年1月から2000年1月の間、どの基準点も西向きに動いていたものの、太平洋側では日本海側よりも大きく位置が変化していました(図3)。 年間2cmほど、東北日本は東西方向に縮んでいたのです。なお、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の後では、逆向きの動きが観測され、東北日本が東西に伸びる様子が捉えられました。 陸上の地形に関しては、国土地理院がインターネットで公開している「地理院地図」を参照すれば、かなりくわしく調べることができます。このWebサイトは、クリックするだけで地形断面図を作成できるなど、便利な機能も備えています。断面図を出力すれば、地形の高低が一目瞭然です。地理院地図の使い方を解説するページもあるので、興味のある方は 上記サイトにアクセスしてみてください。