JAL、KADOKAWA、サイゼリヤ…私たちの身の回りに迫る“サイバー攻撃”
■「サイバーセキュリティー」に対する企業の意識の高まり
KADOKAWAのランサムウエア被害についての報道を受けて、サイバーセキュリティー関連サービスの需要は高まりました。 たとえば「ペネトレーションテスト」。優秀なホワイトハッカー達が、その企業のセキュリティーが万全かどうかを確かめるために、あえてハッキングを試みるというサービスです。「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」によりますと、ペネトレーションテストについての月間の問い合わせ件数は、KADOKAWAの報道前と比べ、一時2倍近くに増加したといいます。 また、企業による「セキュリティー人材の育成」も、年々増加しています。サイバーセキュリティー人材育成の研修を行っている「エヌ・エフ・ラボラトリーズ」によりますと、高度セキュリティー人材(ホワイトハッカー相当)の輩出数は、2020年は20人でしたが、2024年には93人と、4年で4倍以上に膨らんでいます。
■サイバー攻撃対策 個人にできること、国に求めること
ランサムウエアなどサイバー空間での脅威に対して、私たちがとれる対策はあるのでしょうか。 エヌ・エフ・ラボラトリーズの小山覚CEOは、(個人が一度企業に預けてしまった)「個人情報を守ることは、実際問題として難しいです」としながらも、個人でとれる対策について、次のようにコメントしています。 「日頃からセキュリティ対策が甘いサイトには個人情報を登録しない、ということが鉄則です」 「セキュリティ対策が出来ている可能性が高いサイトは比較的容易に見つけることができます。サイトにログインする際にパスワード以外の情報入力を求められる多要素認証が導入されているサイトや、通常と異なるパソコンからログインした場合に問い合わせや確認のメッセージが出されるような、リスクベース認証が導入されているサイトは、Webサイトの脆弱性対策やサイバー攻撃対策がしっかり行われている可能性があります」。
またKADOKAWAの夏野剛社長は、2024年12月、日本テレビの取材に対し自社のセキュリティについて、このように述べました。 「守りはもちろん強めているんですが、強めれば強めるほど今度は効率が落ちる。仕事はしづらくなります。当然のことながら、毎回サインイン・ログインするたびに、ものすごく煩雑なことをやっていては仕事にならないというようなことがあるので、民間企業でできることは非常に限られます」 またその上で、「一国の政府だけではなくて、世界中の政府が連携していかないと、これを撲滅することは本当に不可能だと思います」と、国際的な取り組みに期待を寄せています。 サイバー攻撃の危険性が増しているいま、個人や企業の立場で、私たちがとれる対策をとることは必要不可欠です。その上で、国による民間支援、さらには国際的な協力関係を結ぶことが急務となっています。