“マザーキラー”と呼ばれる子宮頸がん 亡き妻からの言葉で絶望から立ち直ったバルーンアーティスト
“積極的勧奨”に舵を切った厚生労働省
子宮頸がんへの予防効果が認められているHPVワクチンだが、日本では2013年4月から定期接種となった。ただ、接種後に全身の痛みを始めとする重い症状などを訴える報告が相次いだ。そのため国は、積極的な接種を呼びかけることを2013年6月から中止していた。その後、厚生労働省はHPVワクチンの有効性や安全性が確認さているなどとして、2022年4月から再びHPVワクチンの接種を呼びかけることにした。 また、積極的な呼びかけを中止していたことにより、接種する機会を逃した1997年度生まれから2007年度生まれの女性については、いわゆる“キャッチアップ接種”として2025年3月まで無料で接種することができる。
なかなか上がらないワクチン接種率
ただ、ワクチンの接種率は低迷している。HPVワクチンの接種を行っている三重県津市にある「金丸産婦人科」の金丸恵子医師は、接種が進まない理由について、そもそもワクチンの周知が不十分で認知が進んでいないことが一因だと話す。特にキャッチアップ接種については、自身が対象であることを知らない人が多いという。厚生労働省が去年1~2月に行った調査では、高校2年相当~1997年度生まれの女性の53%がキャッチアップ接種を知らないと回答した。 金丸産婦人科でキャッチアップ接種を受けた21歳の女性は、産婦人科で話を聞いて初めて自分がキャッチアップ接種の対象だと知ったという。「ワクチンについての情報が接種対象の世代に伝わっていないから、どういうワクチンなのか全く分かってない人が多いと思う」と話した。
キャッチアップ接種に“迫る期限”
接種する機会を逃した女性を対象に行われている“キャッチアップ接種”。来年3月まで無料で接種することができるが、1回目の接種を9月までに打たなければ3回の接種を公費で打つことができない。HPVワクチンは自費で打つとなると、9価ワクチンについては、3回打つと約10万円の費用がかかる。 ワクチンの他に子宮頸がんの予防に有効とされているのが、定期健診だ。厚生労働省は、ワクチン接種の有無にかかわらず、20歳になったら定期的に検診を受けることを推奨しており、金丸医師は、少なくとも2年に1回は検診を受けるべきだと話す。 ワクチンと検診を組み合わせることで、子宮頸がんによる悲しみが少しでも減ることを期待したい。