党内からも「アホやないか」 維新が補正予算めぐり迷走、組み替え動議提出も政府案に賛成
日本維新の会が迷走している。政府が提出した補正予算案の撤回と組み替え編成を求める動議を国会に提出していたが、12日の衆院本会議では政府案などに賛成した。維新と自民、公明両党による教育無償化を巡る協議体が設置されることなどとして賛成に回ったが、党内では新執行部の対応に不満が渦巻いている。 【比較してみる】若干フサフサに…。左が11月27日午後の石破茂首相、右が12月2日午前の姿 維新の前原誠司共同代表は12日の党会合で、補正予算案への賛成理由について、教育無償化を巡る自公維の実務者協議を年内に始めることで合意したことなどを挙げた。「われわれの考え方を実行するには、与党とも話し合うことが大事だ。虎穴に入らずんば虎子を得ず、という故事もある」と理解を求めた。 ■いてつく党会合 異変は直後に起こった。執行部からの一連の報告事項が終わると、3党協議に関する合意文書も作成されていないなどとして不満を募らせていた浦野靖人衆院議員が怒りをぶちまけた。 浦野氏「自公との協議で紙に残るものは何もない。口約束で予算案の賛否を決めるほど、わが党は軽いのか」 前原氏「紙をまとめるかどうかのタイミングもある。自公は過半数割れしており、この新たな状況に対して野党がどう対応するのかが問われている」 当初、和気あいあいとした雰囲気で始まった党会合は一気にいてつき、前原氏も怒りを抑えながら浦野氏に答えている様子がありありと見えた。 ■エサなしで釣れた 維新は11日、与党との対決を掲げる吉村洋文代表(大阪府知事)の方針を踏まえ、補正予算案を撤回し、組み替え編成を求める動議を提出していた。だが、一夜明けた12日朝、教育無償化に関する3党の協議体を設置することで合意したなどとして方針転換した。吉村氏は同日、大阪府庁で記者団に「教育無償化の3党協議の枠組みができ、一歩前進と考えた」と語ったが、あまりにも早い変わり身に疑問の声が上がった。 維新古参メンバーは「『維新は正論を吐いて筋を通してくるから、ちゃんと向き合わないと面倒臭い』と思わせる絶好の機会だった。今の永田町のスピード感に全くついていけていない」と嘆いた。維新中堅は「立憲民主党や国民民主党よりも3つぐらいグレードが低い条件を握らされて賛成に回ってしまった。アホやないか」と毒づいた。 維新をうまく引き込んだことについて、自民重鎮は「野党同士を競わせるのがうまくいったということだろう」と論評し、別の自民ベテランは「エサもつけずに魚が釣れた」と高笑いした。(千田恒弥)