復活のトプラク!ルーキーのブレガは王座争いを最終戦に持ち越せるか? | FIM スーパーバイク世界選手権 2024 第11戦 エストリル プレビュー
一方でニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)は2022年のスーパースポーツ世界選手権デビューイヤーでこのコースで初レース。レース1では3位表彰台を獲得したものの、2023年の開催が無かったため、過去に2レースしか経験していないコースになります。条件的にも経験面でもブレガは圧倒的に不利な立場にいるわけです。
とはいえ、2020年のエストリル初開催時にトプラク・ラズガットリオグル(BMW/当時ヤマハ)はキャリア2年目のシーズンにしてポールと2勝をマークしたという事実があります。ブレガはデータ面でも充分なものが揃った良い環境が与えられているドゥカティワークスマシンに乗っている以上、ラズガットリオグルのようなインパクトを残さなくてはならないのです。
ブレガにとって厄介なのはアラゴンで今季4勝目をマークしたチームメイトのアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)の存在。そしてアラゴンでWSBK初優勝を果たしたアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)にも先行されるとなると、逆転チャンピオンの条件はより狭まります。要するにブレガはここで勝たなくてはならないのです。プレッシャーは凄まじいでしょうね。
そして怪我の影響がどの程度まで残るか分かりませんが、トプラク・ラズガットリオグル(BMW)はしっかりとチャンピオン獲得の条件を整えたいレース。2027年以降のMotoGP参戦を本格的に検討しているとされるBMWにタイトルをもたらすことで、自身の将来も大きく開くことになるはずです。ラズガットリオグルのBMW移籍後初のチャンピオン決定の舞台となるのか、はたまたブレガとバウティスタがドゥカティの逆転3連覇に向けて底力を発揮するレースになるのか、エストリルは今季最も緊張感あふれる戦いになるでしょう。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ