会社を“売る”中小零細が急増 後継者不在でМ&Aに脚光「社員が元気になった」企業買収のリアル
■M&Aの実情 なぜ買収・吸収を選ぶのか?
(M&Aを受けた元社長の男性) 「自分が社長の頃よりも、社員は元気かもしれない」 笑顔でこう話すのは、M&Aによって会社の事業承継をした男性。男性が経営していたのは、大阪府にある造花の卸会社で、従業員10人規模の小さな会社だが、創業から100年の歴史を持つ老舗だ。男性は、15年ほど社長を務めたが、精神的にも体力的にもきつくなってきたため、60歳を前に後進に道を譲ることを考えた。 ただ、経営者の重圧を従業員に押し付けることはできず、大阪府の支援センターにM&Aの仲介をお願いした。 「買ってくれるところはあるのか?」と不安に思っていたが、ほどなくして、意外にも4社から「買いたい」と手が上がった。4社すべての会社のトップと面談し、「従業員の雇用と生活の安定」を最も気にかけてくれた1社と契約を交わした。 男性は「金銭的な条件は4社ともそんなに変わらなかった。大阪府の支援もあったし、交渉が始まってからはそれほど不安な面はなかった」と語る。むしろ「これで従業員の雇用を守れる」と安心できたという。従業員たちもM&Aに理解を示してくれ、反発はなかった。 男性の会社は、買い手企業のもとで事業を継続することになった。新社長には、買い手企業の社長が就任したが、従来からの社名も雇用も守られた。変わったのは、経営のスタイルだという。 男性は「現場を細かくみる」スタイルの社長だったが、買い手企業の社長は「現場に任せる」スタイル。「自分が社長をしていた頃よりも従業員がやりたいようにやっていて、元気に見える」と話す。 男性は、社長を引退して以降、空いた時間を趣味に費やし第二の人生を謳歌している。「他の社長さんも同じように、まず従業員の雇用を一番に心配していると思います。きっちりとした相手先さえ選べれば、うまくいくと思う」とМ&Aについての考えを語った。 また、後継者の不在でМ&Aを選択せざるを得ないケースが多い一方、資金力のある企業にあえて買収されることで、事業拡大を狙う中小企業もある。中小企業の間でも、多角的な視点からМ&Aが選択されるようになっている。
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