会社を“売る”中小零細が急増 後継者不在でМ&Aに脚光「社員が元気になった」企業買収のリアル
大阪府内で服飾店を営む70代の経営者が、苦渋の決断をした。 「会社を売ろう。誰かに買収してもらうしか会社を残す方法はない」 【動画】「断腸の思い」大阪・ミナミの『金龍ラーメン』立体看板のしっぽ撤去へ 8月下旬にも 裁判で撤去命令 年を重ね、社長を務めることが気力的にも体力的にも難しくなった。勇退し後進に会社を託そうと考えたが、社長のポストを任せられる人材がいないことに気が付いた。 「従業員の雇用のためにも、会社はなんとしても存続させないといけない。でも、誰に任せればいいのか…」 思案に暮れていた時に目に留まったのが、「事業承継」に関するビジネスセミナーのチラシ。足を運んでみると、会社を残す選択肢として「M&A」があることを知った。すぐに仲介業者に連絡を入れ、話を進めることを決めた。 この実例は、決して珍しいものでははない。後継者が見つからず、他の企業に買収されることで会社を存続させる中小企業は増加の一途をたどっている。M&Aは決して大企業の話ではないのだ。 国もM&Aによる中小企業の事業承継を支援していて、今年秋にも支援を強化する策を実施する方針を示している。 「わが社は●●社に買収されることになった」 ある日突然、社長が従業員にM&Aの受け入れを発表する。こうした場面は決して他人事ではなくなっている。
■後継者の不在が高める倒産のリスク
「あなたの会社、次の社長は決まっていますか?」 こんな問いかけをされたら、すぐに回答できるだろうか? 「次はあの人だよね…」などと話が出るのは、ある程度規模の大きな会社ではよくあることだが、次期社長が誰かイメージできないという人も多くいるのではないだろうか。 「まだ先のこと…」と避けて通ると、傷口は広がっていく。後継者不在は、倒産リスクを高める深刻な問題だ。黒字経営なのに次を担う経営者がおらず廃業に追い込まれる…。そんなケースが増えているのだ。 大手信用調査会社の東京商工リサーチの調査では、後継者不在に起因する「後継者難」倒産は、2022年度に409件に上った(負債1千万円以上)。2018年度から5年連続で前年度を上回り、調査を開始した2013年度以降で最多を更新した。 社長が急死したり、体調を崩して業務できなくなったりした時に後継者がいなければ、あっという間に倒産に追い込まれてしまう。実際、今年度に入ってからも、創業100年以上の水産加工会社が代表者の体調面に問題が発生するなどして破産したり、一時は10億円以上の売上があった金属加工会社が社長の急死により事業を停止したりしている。
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