会社を“売る”中小零細が急増 後継者不在でМ&Aに脚光「社員が元気になった」企業買収のリアル
■顕著な社長の高齢化は「倒産に直結」
現在、日本では“社長の高齢化”が顕著だ。2022年に休廃業・解散した企業は4万9,625社で、そのうち70代以上の社長が6割以上を占めた。東京商工リサーチは「社長の高齢化は倒産や休廃業・解散に直結しやすくなっている」と指摘した上で、「金融機関だけでなく取引先でも、後継者の有無が与信判断の材料として重要性を増している」としている。 後継者不在により、倒産・廃業に追い込まれる企業の中には、いわゆる“オンリーワンの技術”を持っていたり、サプライチェーンの中で重要なポジションを担っていたりする企業もある。専門家は、事業承継がスムーズにいかないことは、国や地域の経済にとって大きな問題だと指摘する。 (東京商工リサーチ 情報部 藤本真吾さん) 「事業承継がなされず、代表者の高齢化が進むと一般に企業の生産性は低下する。すでに日本の経営者は高齢化が進んでおり、遅れれば遅れるほど事業承継の難易度は上がる。結果的にイノベーションが起きないことで中長期的に国力を損なう恐れがある。また、廃業となった場合、地域経済・住民生活に密着した企業であれば生活基盤の毀損に繋がる。具体的には商店街などの衰退や地元の雇用問題などが挙げられる」
■事業承継の選択肢としてM&Aに脚光
“高齢の経営者”に“後継者不足”。課題を抱えた企業を支援しようと様々な取り組みが行われている。 その一つが、国や自治体が運営する「事業承継・引継ぎ支援センター」。事業承継に関して、専門家が無料でアドバイスをしてくれる。一般的に事業を後進に引き継ぐには、3つのやり方がある。 ①親族間承継:配偶者や子どもなど、経営者の親族を後継者とする ②社内承継:自社の役員や従業員を後継者とする ③M&Aによる承継 オーナー社長が会社の規模拡大や継続に注力し、後進の育成が後回しになってしまった結果、①の親族間承継や②の社内承継に踏み切れないという事態が往々にしてある。
■増加するM&A
そこで、近年、増えているのが、第三者の企業に自社を売って事業を残すM&Aだ。 大企業が関係するイメージがあるが、中小企業間でのM&Aの件数は着実に増加している。全国の事業承継・引継ぎ支援センターが仲介したM&Aの件数は2024年度で2000件を超え、ここ5年で倍増している。(中小企業基盤整備機構調べ)。 一般的なメリットとしては、 ・幅広い後継者候補の中から後継者を選べる ・経営の経験者を後継者にすることで、経営の移行がスムーズ ・株式の譲渡で現経営者が利益を得られることもある、などがあげられる。 国内では決してイメージの良くないМ&Aだが、経験した経営者は「イメージとは程遠い」と語る
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