仕事で海外移住をすることになりました。年金保険料の支払いと受け取りはどうなりますか?
「海外に移住するとしたら、年金保険料は支払い続けるの?」といった疑問を持つ人もいるでしょう。海外に移住した場合、これまで通り年金保険料を払うパターンと、移住先の国の社会保険制度に加入するパターンのどちらかになります。 本記事では、海外に移住した場合の年金保険料の支払いについて解説します。また、海外に移住した場合の年金の受け取りについても紹介しますので、参考にしてください。
海外移住した場合、年金保険料は支払い不要?
海外に移住する場合、年金保険料をどこに納めればよいでしょうか。移住する際の状況によって、これまで通りの方法で年金保険料を払うのか、それとも暮らす国の社会保険制度に加入しなければならないのかは変わってきます。 本項では、2つのパターンでの移住による保険料の支払いについて解説します。二重に社会保険料を支払わないよう、確認しておきましょう。 ■日本に会社があって、海外に転勤する場合 転勤先が海外であっても、会社が日本にあってこれまで通り給与を受け取る場合は、引き続き厚生年金保険料を払います。住所が海外にあっても、日本の社会保険制度をそのまま利用可能です。 ■留学や海外で就職をする場合 留学や海外での就職を目的に移住する場合は、暮らす国の年金制度に加入します。日本国籍があれば、住民票を海外に移しても日本の国民年金への加入は可能です。 加入は義務ではありませんが、任意加入した場合は保険料納付済期間に応じて年金額に反映されます。任意加入しておけば、もし海外移住中に死亡したり障害が残ったりした場合に、家族が遺族基礎年金や障害基礎年金を受け取れます。
海外に移住した際の年金保険料の手続き方法
海外に移住する場合、年金保険料の手続きをしなくてはなりません。手続きの種類は主に2つあり、これまで通り厚生年金保険料を支払い続ける場合と、移住先の国の社会保険制度に加入しつつ日本の国民年金保険料に任意加入する場合があります。海外に移住する際、日本でどのような手続きをすればよいか見ていきましょう。 ■これまで通り厚生年金保険料を支払う場合 先述のとおり、日本にある会社に勤めながら海外移住する場合は、これまで通り厚生年金保険料を支払います。その際、社会保障協定を結んでいる国へ移住する場合は「適用証明書」を発行してもらい、年金保険料を二重に払わないよう申請する必要があります。適用証明書は、日本の社会保険制度に加入していることを証明するものです。 適用証明書は、事業者を通して日本の年金事務所に発行してもらいましょう。自営業者の場合は、本人が年金事務所にて適用証明書の発行手続きを行います。なお、自営業者が一時的に海外で活動を行う場合は、働く国の制度への加入が一定の条件によって、一時派遣者の扱いとなり免除されるケースもあります。 ■任意加入で国民年金へ加入する場合 留学や海外で就職をし、国民年金へ任意加入する場合は、今住んでいる市区町村窓口で国民年金保険料への加入手続きができます。 年金保険料の納め方は「国内にいる親族等の協力者が代わりに納める」「国内に開設している口座から引き落とす」のいずれかから選べます。なお、任意加入の場合は免除・納付猶予や学生納付特例の申請はできません。