救える命を救いたい…医療現場の希望の翼『ドクタージェット』と課題「今は“お金ないから子どもの命諦めろ”に」
2024年4月には、金沢大学附属病院に入院していた心臓病を患う0歳の男の子が、石川県の小松空港から県営名古屋空港に到着し、その後、大府市のあいち小児保健医療総合センターに移された。
あいち小児保健医療総合センター 伊藤友弥医師: 「ドクターヘリよりも広いですし、機体も割と安定していると思う。ちょっとした処置に関してはドクターヘリよりはやりやすい」
■ドクターヘリより静かで会話可能…ジェットの強み
記者が患者役となり、試験飛行に同乗させてもらった。
ストレッチャーにはレールがついていて、機内に入ってからも振動は少なく、小回りが利いて速やかに搬送された。
離陸した後も、通常の旅客機と何ら変わらないくらいの静かさと振動の少なさだった。安定感もあり、怖いと感じることはなかった。 ドクターヘリなどと比べて、ドクタージェットは「静かでコミュニケーション取れることがいいこと」と伊藤医師は話す。
あいち小児保健医療総合センター 伊藤友弥医師: 「ドクターヘリとか防災ヘリとか乗ったことあります。ヘリの中は会話もかなり難しいです。上のローターが回ってるので、極端な話、(コミュニケーションを)ジェスチャーで取るしかないことも多い。ドクタージェットは静かですね。医療従事者同士のコミュニケーション取れるのが良いかなと思いますね」
■手段さえあればあの子供たちは今…
ドクタージェットは、長距離をすばやく移動し、さらには患者へのストレスを軽減する。この取り組みを始めたNPO法人「JCCN(日本重症患者ジェット機搬送ネットワーク)」の福嶌教偉(ふくしま・のりひで)理事長は、自身が心臓外科医だったころ、ある悔しい経験をしたという。 NPO法人JCCN 福嶌教偉理事長: 「秋田とか鹿児島とかで心臓移植が必要な子供さんがいて、その患者さんを運ぼうと思ってもほとんど運ぶ方法がなくて、最終的に自衛隊に頼んでもその時はダメで。運べずに亡くなった。そういった患者さんはもっとたくさんいらっしゃると思うんですね。そういった子供さんを助けたい」