「星野源さん、紅白歌合戦の楽曲変更」がテレビ業界の「パンドラの箱を開けた」と言えるワケ
テレビ業界にお勤めになって他業界へ転職をしたような人はわかるだろうが、この世界は一般企業ではあり得ないほど「昭和のカルチャー」が残っている。パワハラ、時間外労働が横行していることに加えて、芸能界同様のピラミッド社会で成り立っているので「立場」や「権威」をカサに性加害をする人が後を絶たない。 今年8月も、タレント志望の20代の女性にタクシーの車内でわいせつな行為をしたとして、テレビ東京制作局の40代の男性プロデューサーが不同意わいせつ容疑で書類送検された。 筆者がADをしていた30年前、この手の話は山ほどあったが今も変わらずやっている。ニュースでは働き方改革だ、男女平等だ、ダイバーシティだと御託を並べているが、それをつくっている「ムラ社会」の中は時計の針が昭和で止まったままなのだ。 だから、その気になって探せば「性加害疑惑」など山ほど出てくるだろう。中居さんのトラブルも本来は当事者間では「和解」をしているので、限られた人しか知らないはずだ。しかし、報道によれば秋くらいからテレビ業界では「噂」として囁かれていた。ということは、当事者に近しい人間が意図的に話を広めていた可能性が高い。このような「性加害告発」が来年は大盛り上がりしていくのではないか。 今回の星野さんの楽曲変更を受けて、ネットやSNSでは、そもそも「地獄でなぜ悪い」を紅白スタッフが選んだのは「SNSでバズる」ことを狙っていたからではないか、という推測もされている。 というのも近年、紅白は「デジタル戦略」にも力を入れているからだ。22年末の紅白から専門チームが、単に生放送だけではなくSNSで「放送前の盛り上がりをつくる」ことを目指しているという。そう言われると、確かに出場歌手もお年寄りが好きな演歌・民謡分野などを縮小し、「バズる」ことを意識したセレクトに舵を切っているようにも見える。 そういうデジタルリテラシーの高いスタッフたちが、星野さんが「地獄でなぜ悪い」を歌うことの炎上リスクを予期できないわけがないというのだ。