「資金調達」に関する適時開示で、株価は上がるのか、下がるのか?
公募増資なのに株価が上がることも
やはり、株式の希薄化が生じる場合に対して、投資家はマイナスの評価を下しているようです。しかし、増資や新株予約権付社債発行に関する適時開示が行われると、株価が下がることが多いのは事実ですが、必ず下がるわけではなく、上がることもあります。 PCIホールディングスは8月23日、公募増資の実施などを内容とする「新株式発行及び株式の売出しに関するお知らせ」を開示しました。株価が下がるかと思いきや、同日の同社株式の終値が2291円だったのに対し、翌24日は一時2375円まで値を上げました(安値も2295円)。
実は、同日、その開示と同時に、東京証券取引所マザーズ市場から一部又は二部市場への上場市場変更を内容とする「東京証券取引所における上場市場の変更に関するお知らせ」と、配当予想の上方修正を内容とする「平成28年9月期配当予想の修正(市場変更記念配当)に関するお知らせ」も開示されていたのです。それらに対するプラスの評価が、株式の希薄化に対するマイナスの評価を打ち消したのかもしれません(PCIホールディングスも、そうした効果を狙ったのかもしれません)。
PCIホールディングスの株価 (事業創造大学院大学准教授 鈴木広樹)