売り上げ4963本から世界最高のゲームへ。ソニー開発陣が任天堂へ感謝
■ソニーの開発者が任天堂に感謝を述べる The Game Awards 2024のゲーム・オブ・ザ・イヤー授賞式では、登壇したクリエイティブディレクターのスピーチも大きな話題になった。 前述のように『アストロボット』はソニー・インタラクティブエンタテインメントが自らのPlayStationのために作ったゲームである。にもかかわらず、登壇者は任天堂に対する感謝を述べたのだ(実際のスピーチでは任天堂を名指ししていないのだが、それでも指し示しているのは明らかである)。
『アストロボット』のような3Dアクションは英語圏ではプラットフォーマーと呼ばれるのだが、このジャンルにおいて任天堂の「スーパーマリオ」シリーズの影響は多大である。 それこそファミリーコンピューターの『スーパーマリオブラザーズ』は言うまでもなく、現在のゲーム開発者たちに多大な影響を与えている。しかもこのシリーズは現役であり、『スーパーマリオ オデッセイ』などでプラットフォーマーの新しい可能性を切り開き続けているのだ。
『アストロボット』は直接的にマリオを模倣しているわけではないが、しかしプラットフォーマーという面においては間違いなく影響を受けているだろう。ライバルでもあり仲間でもあるがゆえに、ゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞するにおいて言及したのだと考えられる。 このスピーチは、ソニー内のチームが任天堂に(直接ではないとはいえ)感謝を述べていることで大きな話題になっている。仮に自分の所属する会社が違ったとしても、ゲーム開発者たちは互いの作品に影響を受けており、同じゲーム好きとして楽しんでいるのである。
渡邉 卓也 :ゲームライター