「ウクライナ侵略を考える~『大国』の視線を超えて」著者、加藤直樹氏に聞く(2) 日本の平和運動の無自覚な「大国主義」
ベトナム民衆がアメリカに抵抗しなければ枯葉剤を撒かれなかった、パレスチナ人の命を「一人でも多く」救おうと思うなら彼らをイスラエルの狙い通りにシナイ半島に移住させた方がいい――と言うようなものです。彼らにも、「当事者は冷静にものが見えなくなっているだろうから、外部で運命を決めればいい」と言うのでしょうか。こうした「人命尊重」は、生物としての個体を「保護」しようとするものです。「人間」に対する態度ではありません。人間は、自らの選択を行う権利をもった「主体」なのです。 日本の平和主義は、自国の侵略戦争への反省のうえにこそ立つべきです。「加害責任」とは「侵略責任」だったはずです。かつての日本がやったような侵略を受けて、それに抗して銃を取らざるを得ない状況に置かれているウクライナの人びとの苦しみやジレンマに共感をもって向き合うことができないとしたら、日本の平和主義が世界に通用する道義性を持つことはないと思います。平和主義は、第一に反侵略という原則に立つべきです。(つづく) インタビュー第3回につづく (全4回)
****************************************** ■6月29日に東京で『ウクライナ侵略を考える 「大国」の視線を超えて』(あけび書房)の著者、加藤直樹氏の出版記念講演会が開催される 「ウクライナ侵略を考える 「大国」の視線を超えて」 日 時 6月29日(土)14:00~16:00(開場13:30) 会 場 専修大学神田キャンパス10号館5階10051教室 地下鉄神保町駅A2出口3分/地下鉄九段下駅5出口1分/JR水道橋駅西口7分 オンライン(ZOOM)は事前申し込み(Peatix) https://ukrainewar.peatix.com 講 師 加藤直樹さん 資料代 1000円 共 催 あけび書房 お問い合わせ先 civilesocietyforum@gmail.com ****************************************** 【加藤直樹(かとう なおき)】 1967年東京都生まれ。出版社勤務を経てフリーランスに。著書に『TRICK「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(ころから)、 『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(ころから)『謀叛の児 宮崎滔天の「世界革命」』(河出書房新社)など。