「濃密な神話に浸った」「今のアメリカには虎永が必要」 アメリカ人が口々に語る『SHOGUN』の圧倒的な魅力
「SHOGUNは、真に、純粋に、優れたショーだった」 と興奮気味に語るのは、舞台演劇作品に贈られるトニー賞主演女優賞にノミネートされたことがある女優ジェニーヴァ・カーさん。 【写真】2月にはニューヨークでの特別イベントに参加していた真田広之氏とアンナ・サワイ氏 アメリカの優れたテレビ番組に贈られるエミー賞の授賞式で、俳優真田広之氏がプロデュース・主演したドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」にドラマ部門作品賞など過去最多の18の賞が贈られた。アメリカ人がなぜSHOGUNに惹かれ、グランドスラム受賞につながったのか、緊急取材した。
■日本語と英語での熟練した演技は過去にない 「真田さんがスピーチで言ったように、東洋が西洋に出会う、という意味を多くのアメリカ人が学んだ作品だ。日本人がどうやって敬意を示すかなどを学ぶ『窓』となるドラマだ」とカーさんは、電話インタビューで答えた。彼女は、ネットワークテレビ局CBSのヒットドラマ「ブル(Bull)」で6シーズンにわたり出演したベテランだ。 アメリカメディアや業界関係者によると、SHOGUNは派手なハリウッド・キャンペーンも展開せず、「レーダー外」の存在だったという。しかし、エミー賞で25部門にノミネートされたことで、業界を驚かせた。さらに18部門で受賞という快挙で、カーさんが言う「優れたショー」だったことをいきなり見せつけた。
真田広之氏とアンナ・サワイさんの「ダブル」主演賞受賞について、カーさんはこう解説する。 「2人とも日本語と熟練した英語で演技し、しかもそれぞれの言語のニュアンスさえもつかんでいた。1つの作品でこうした俳優が2人以上もいるというのは、(ドラマでは)なかったことだ。サワイは集中した『静』と『動』の使い分けで見たこともない演技を見せた」 真田氏が主演賞を受賞したことで、「今後、(英語が話せる)日本人や他のアジア人男優が、ハリウッドの主役として抜擢される可能性を高めたと思う。今までアジア人男優が主役になったことはほとんどなくて、いつも助演だった。授賞式翌日の今日、ハリウッドは、アジア出身の男優や監督でヒット作をできる人物を探し始めているはずだ」とカーさん。