「女の子だから」父に褒めてもらえず…“困難な環境”で育った女性画家が強い劣等感を克服するまで
誰かの痛みに寄り添えるような絵が描きたい
闇の中にも光はきっとある、心の傷は力に変えられる。そう大河原氏は語る。 「だから、もしも孤独や心の傷を抱えている人がいるとしたら、『絵や創作は、あなたに寄り添ってくれるよ』と私は伝えたい。そして、誰かの痛みに寄り添えるような絵が描けたらーーそんな思いで今は絵を描いてます」 より大きな悲しみやわかりやすい不幸の前では、日常の些細な傷など、ないも同然で時間は過ぎる。心に微小な切り傷を抱えた人たちは、社会の鈍感さよりもまず自らの繊細さを嘆くだろう。弱者は、強者の理論で自転するこの世界から振り落とされずにいるだけで、精一杯だ。 どんな作品にも、芸術家たちが紡ぎ出す細く淡い神経の一本一本が通う。強くもなく、大きな声を発するわけでもない、不器用にしか生きられない仲間たちのために、今日も大河原氏の芸術は佇む。 <取材・文/黒島暁生> 【黒島暁生】 ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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