米財務長官ポスト、ベッセント氏に強力な後ろ盾-ルトニック氏も関心
(ブルームバーグ): トランプ次期米政権の財務長官ポストを巡り「争奪戦」が表面化している。マクロヘッジファンドのキー・スクエア・グループ創業者スコット・ベッセント氏が重要な支持を得る一方、政権移行共同委員長ハワード・ルトニック氏が自らその座を狙っている。
事情に詳しい複数の関係者によれば、ルトニック氏が財務長官候補の1人として浮上したのはここ数日のことで、トランプ氏にとって驚きだった。ウォール街の重鎮ルトニック氏の名前が会議で提示された際、トランプ氏はルトニック氏が関心を抱いていることを初めて耳にしたと語ったという。
トランプ氏の支持者らはルトニック氏のアプローチについて、ブッシュ(子)氏の副大統領候補選考を担当し、最終的に自身が候補となったディック・チェイニー氏のケースになぞらえて否定的にみている。米投資銀行キャンターフィッツジェラルドの最高経営責任者(CEO)を務めるルトニック氏の担当者はコメントを控えた。
肩書を巡る内輪もめや権力闘争は、トランプ政権1期目の特徴だったが、プロセスに詳しい関係者の話では、今やそれは失格となる可能性がある。次期大統領は、同じ職を争う他の候補者を攻撃する候補者に寛容ではないという。トランプ氏の大統領首席補佐官となるスージー・ワイルズ氏は、トランプ氏の過去の選挙戦に比べ、よりプロフェッショナルなキャンペーンを展開したと評価されている。
トランプ氏に近い人物らは、政権移行の管理を任されながら選挙戦の最終盤にテレビやイベントでスポットライトを浴びたルトニック氏に腹を立てていた。
ルトニック氏はトランプ氏のための多額の資金集めに協力した。ルトニック氏は公の場で次期大統領の経済イデオロギーに同調し、関税の利点を宣伝し、財政赤字を削減してコスト削減によって政府を一段と効率的にするというトランプ氏の最新の呼び掛けを増幅させている。
事情に詳しい複数の関係者によると、ルトニック氏はベッセント氏の指名に反対している人々の1人で、関税を含む主要な保護主義的公約に同氏が弱腰だと主張している。これらの人々はベッセント氏について、トランプ政権1期目で財務長官を務めたスティーブン・ムニューシン氏に類似し過ぎていると警告している。