【2025年経済展望】キーワードは「アメリカ1強」…日本で“賃金と物価の好循環”は実現するか?
アメリカ株についてはどうでしょうか。 「今年のアメリカ経済のテーマは“アメリカ1強”が一つのキーワード。トランプ次期米大統領の政策がアメリカ・ファーストということもあり、昨年も結局アメリカ経済が圧倒的に強く、その反対側で中国・ヨーロッパなど経済が不調な国が目立った。やはり25年もアメリカが一番であることはおそらく変わらず、アメリカの株価の方が強気に見ている人は多いと思います」 「ただ年末に金利が上がってきています。ここまで上がってくると株価も耐えられるか不安が出てくる意味では、“金利見合い”でしょうね」 さらに、今年の日本経済の行方を見通すうえでは「需給ギャップ」も注目されていると末廣さんは解説します。 ■今年は日本経済の「分岐点」だが、デフレ脱却宣言はなし? 「日本経済は為替の影響を除いてみるとかなり真価が問われる年になりそうです。本当にいい形でデフレを脱却して消費が回復していくかが問われるなか、その一つの指針が、需給ギャップです」 「需給ギャップとは、日本の経済の需要と供給のバランスを見たときに、需要が強いのか弱いのかを測る指標です。具体的には実際のGDP(総需要)と潜在GDP(経済全体の供給力)の差をギャップと呼んでいます」 内閣府は24年12月、政府の経済見通しに基づく需給ギャップの試算を示しました。25年度の実質成長率が1.2%となった場合、需給ギャップは0.4%で7年ぶりにプラスとなり、需要増に転じるという見通しです。 「今のところ日本はインフレですが、円安で輸入物価が上がるコストプッシュ型インフレの影響が大きいと言われており、需給バランスはまだマイナスです。これがプラスになるということは、日本は需要の方が強く“前向きな”インフレが定着していくということになる」 個人消費などの需要の上昇に供給が追いつかず、物の値段が上がっていけば「いよいよ経済の好循環だという話が出てくる。その分岐点に今あるということですね」
ただ、末廣さんは25年度に1.2%の成長率が達成されることには懐疑的です。また需要がプラスに転じれば内閣府が示しているデフレ脱却の条件をすべて満たすことになりますが、「今政府が『デフレ脱却です』と言っても、国民が物価上昇で苦しいのに今更なにを、と受け取られてしまう」 「賃金なのか消費なのか、日本経済の本質的な課題に目標がシフトしていく形となり、デフレ脱却宣言は明示的には行われないのではと思います」
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