物価高克服へ給付金 政府、総合経済対策を決定 低所得世帯へ3万円 年収の壁引き上げも
政府は22日の臨時閣議で、総合経済対策を決定した。物価高を克服するため、住民税が課税されない低所得世帯に配る3万円の給付金などが柱となる。国民民主党が求める年収103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」は引き上げる。必要な経費として令和6年度の一般会計補正予算案に13兆9000億円程度を計上する。 民間企業の支出分などを合わせた事業規模は39兆円程度と推計。補正予算は28日召集の臨時国会に提出し、早期成立を目指す。石破茂首相は22日の記者会見で「暮らしが豊かになったと思っていただけるためには、家計を温める必要がある」と強調した。 日本経済は6年春闘で33年ぶりの高い賃上げ率が実現したほか、名目国内総生産(GDP)が4~6月期に年率換算で初めて600兆円を超えた。政府は「賃上げと投資が牽引(けんいん)する成長型経済」へ移行できるか否かの分岐点にあると強調する。 成長型経済への移行を確実にするため、経済対策は①日本経済・地方経済の成長②物価高の克服③国民の安心・安全の確保-の3本柱に沿って、構成された。 日本経済・地方経済の成長では、最低賃金の今後の中長期的な引き上げ方針を議論する政労使の意見交換会を早期開催する。地方活性化に向けては「新しい地方経済・生活環境創生交付金」の創設を盛り込んだ。 物価高対策には4兆6000億円程度を充てる。低所得者に給付金を支給するほか、7年1~3月に電気・ガス代の補助を再開する。エネルギーコスト上昇に強い経済・社会を実現するため、再生可能エネルギーや原子力など脱炭素効果の高い電源の最大限活用も求める。 国民の安心・安全の確保では、地震と豪雨で被災した能登半島の復旧・復興の加速や、社会問題化している「闇バイト」による強盗・詐欺への対策強化も明記した。