「頭がいい人」ほど前例にとらわれる当然の事情、「失われた30年」にもつながっている明治時代の官僚システム
■東大や京大でも「仕方がない」 渋谷教育学園幕張(千葉県)のような国内トップクラスの進学校では、海外の大学への進学を目指す成績上位の生徒を対象にした特別なサポートシステムを組んだりもしている。 子供の将来のために海外の一流大学へ行かせたいという親も増えている。 しかし、今の円安状況では海外への進学は学費も生活費も大変だから、「世界ランク29位の東大や、同55位の京大でも仕方がないか」というようなことにもなっているようだ。
もちろん今はまだ、そういう親が極端に増えているということでもない。 しかし現在の日本の凋落傾向が続くようだと、近い将来に優秀な学生たちはみな日本から逃げて行ってしまうかもしれない。 海外の大学へ進学したからといって、成功するかどうかはわからないけれど、優秀な人材がこぞって海外へ行くことになれば、日本の未来が危うくなることは間違いないだろう。
池田 清彦 :生物学者