対戦相手も感じた2点差以上の力の差…ハーフタイムの2枚替えが的中の作陽学園、プラン通りの試合運びで近大和歌山撃破!!
[7.28 総体2回戦 近大和歌山高 0-2 作陽学園高 JヴィレッジP7] 令和6年度全国高校総体(インターハイ)「ありがとうを強さに変えて 北部九州総体 2024」男子サッカー競技は28日に2回戦を実施。JヴィレッジP7で行なわれた近大和歌山高(和歌山)と作陽学園高(岡山)のカードは、2-0で作陽学園が勝利した。30日行われる3回戦では桐光学園高(神奈川1)と対戦する。 【写真】影山優佳さんが“人気女優”と代表戦を現地観戦「可愛すぎる」「勝利の女神が2人」 連戦の疲労もあった中での戦いだったが、近大和歌山の選手たちが感じていたのは作陽学園との力の差。「全てをかけて挑もうと思っていたのですが、フィジカルなど全く自分の能力が足りなくてボールが持てなかった。相手の方が、能力が高くて、足りないところだらけで、課題が見つかった試合でした」。そう振り返るのはMF佐久間瑛介(3年=海南市立第三中)で、2点差以上の差を感じるゲームだったという。 互いにやり合う形になったが、前半の試合展開も作陽学園の思い通りだった。「前半から自分たちのペースでボールが回せて、良さが出せた」と話すのはMF曽田瑛太(3年=J-FIELD津山SC)で、立ち上がりから、ボランチのMF山田蒼唯(3年=SAGAWA SHIGA FOOTBALL ACADEMY Jr.ユース)が最終ラインに落ちて、センターバックの2枚とともにボールを保持。自陣からのビルドアップとロングボールを判断よく使い分けて試合を進めていく。 長いボールを入れた際はフィジカルの差を生かし、セカンドボールの回収で勝利。「ロングボールを入れられて、自分たちのラインが伸びてしまった。前に返しても、ラインの押し上げが足りなかったので、前でハメることができなかった」と佐久間が振り返ったように近大和歌山は悪循環に陥っていった。 相手エリアに入ってからの作陽学園はテンポよくボールを動かしながらも、左サイドを意図的に使い、MF平松頼心(3年=FC バイエルン ツネイシ U-15)が仕掛けていく。序盤は思い通りにゴール前に入らなかったが、次第にチャンスが増え、前半31分に平松が絶妙なコースを突くシュートを放ったが、DFに阻まれてCKに。35+5分には曽田がくさびを入れると、落としからミドルシュートを放ったが、枠の上に逸れた。 チャンスを作りながらも1点が奪えなかったが、前半の仕掛けが後半に入ってから効き始める。「昨日、丸岡さんとのゲームをやって、今日のゲーム。同じようなイメージの2チームに対し、僕らが連戦で対応するのは難しい」と話すのは近大和歌山の藪真啓監督で2日続けてロングボールを受けた疲労によって、後半は動きが落ち始めた。そうした隙を狙って作陽学園は後半開始とともに両翼にMF飯田龍之進(3年=FCフレスカ神戸)、FW吉田央(3年=アリバSC)を投入。サイドからの仕掛けを増やすことで、得点を狙いに出た。 策が見事にハマり、後半17分には右中間を運んだ飯田が前線に展開。受けたFW大西卓磨(3年=イルソーレ小野FC)のスルーパスをDFの背後で貰いなおすと、冷静に左足シュートを流し込んだ。右からの中への崩しを相手の脳裏に植え付けると、20分のチャンスは左サイドから。FW久城壮司(3年=FCフレスカ神戸)、大西と中央を繋いだボールを左に展開するとフリーでドリブルを仕掛けた吉田が2点目を決めて、近大和歌山を突き放した。そのまま2-0で終了を迎え、プラン通りの戦いを上手く実行した作陽学園の強さを感じさせる試合となった。 「何が何でも今年は(全国大会に)行かなければいけないと思っていた」。大会前にそう意気込んでいたのは酒井貴政監督で、作陽学園にとって今年は勝負の年だ。近年は県内のライバルである岡山学芸館の躍進が続き、一昨年の選手権では日本一に輝く一方、作陽学園は久しく全国大会から遠ざかっていた。津山市から倉敷市に移転し、作陽高から作陽学園高に改名した昨年も夏、冬ともに県予選で敗退。今年の選手は全国大会を経験する選手はいない。「校名が変わってからと考えたら、初出場みたいなもの」と酒井監督は口にする。 「次の桐光学園を倒したら、もっと全国にアピールできると思う。自分たちの目標はそこなので、ここから良い準備をして次も勝ちたい」。曽田の言葉通り、大会を勝ち上がれば作陽学園という新校名を多くの人に知ってもらい、存在をアピールできる。そのためにも今大会は全国クラスの強豪との対戦が予想されるベスト16とベスト8進出を目指し、準備をしてきたという。酒井監督は「最低限2勝はしなければいけないと思っていた。ここからが本当の勝負だと思う。格上に向かっていく方が僕らは得意。あとは良い準備をして勝つだけ」と意気込みを口にした。 (取材・文 森田将義)