韓国半導体の対中輸出は「針の穴」だが…政府の戦略、韓日の明暗分けた(1)
米国が中国向けの広帯域メモリー(HBM)と先端半導体装備輸出の道を完全にふさいだ。韓国企業が中国に旧型HBMと半導体装備を売ることができなくなり韓国半導体産業が大きく萎縮する危機だ。米中の先端技術覇権競争の範囲がますます拡大する中で、韓国が「技政学」的戦略競争で日本や台湾に比べ遅れているという指摘が出る。 米商務省産業安全保障局(BIS)は2日、輸出統制対象品目にHBM製品を正式に追加した。商務省は「現在生産されているすべてのHBMが制裁対象になる」とし、中国へのHBM供給路を完全に遮断した。米国企業が作ったHBMだけでなく、第三国が作ったHBMも米国の技術が使われていれば輸出統制対象で、輸出するには米国政府の許可を受けなければならない。商務省は中国企業140社を輸出制限企業として明示した。 韓国半導体業界は「ついに来るものが来た」という雰囲気だ。米国がエヌビディアのAIアクセラレータに対し対中輸出を遮断してHBMも制裁対象に含まれるだろうという見通しが多かった。しかし最新HBMに限定せずすべてのHBMの対中輸出を禁止した上に、韓国企業の主要売り上げ源であるDRAMなど一般メモリー半導体では中国企業の低価格競争を米国が傍観し韓国企業の衝撃は大きい。 サムスン電子だけでも上半期の中国売り上げが32兆3452億ウォンで昨年上半期の17兆8080億ウォンから2倍水準となり、大部分が半導体輸出から出た。上半期のサムスンの中国売り上げは半導体好況期だった2022年の記録を超え、不振に陥ったサムスン半導体の実績を支えた。ところがこの道が今後閉ざされる。 HBM生産量の相当部分を米エヌビディアに供給するSKハイニックスもやはり上半期に中国だけで8兆6061億ウォンの売り上げを得て前年同期比2倍以上増えた。制裁を控えた中国が韓国製メモリーチップ買い占めに出たためだ。サムスン電子はHBMの対中輸出の割合が実際より多少誇張されたという立場だが、半導体業界関係者は「実際に迂回ルートで中国に流れて行った旧型HBM関連の売り上げは無視できない水準」と話す。 ◇韓国半導体に打撃、手足縛られて中国と低価格競争 今回の米国の輸出制限措置で韓国半導体産業は二重苦に陥ることになった。韓国企業の対中輸出が閉ざされた状態で、中国メモリー企業の低価格攻勢の旧型メモリー製品と競争しなければならない。米商務省は今回の発表でサムスン電子とSKハイニックスを激しく追撃する中国最大DRAMメーカーのCXMTを制裁対象に含まなかった。制裁でDDR5など先端DRAM製品を開発するのは難しくなったが、既存の汎用市場での物量攻勢は当分継続できるようになった。半導体業界では米国が自国の半導体装備企業の対中輸出の道をある程度開いておいた措置との解釈が出ている。