ハンドリング 乗り心地 ダウンサイジング 過給エンジン……日本車が越えられないと言われ続けてきた「壁」
■ブランド戦略の壁
ブランド戦略に長けた欧米車に対し、日本車はブランドイメージの構築が下手といわれているが、克服できていないのか?(文:石川真禧照) ●VW ザ・ビートル vs BMW MINI vs フィアット500 vs ホンダ N-ONE 歴史の重みというのはどういうことをいうのだろう。 今回の3車"ビートル/ミニ/500(チンクエチェント)"のデビューから最終生産までの年数を調べてみると、ビートルは1945年から生産を開始し、50年以上も作られた。ミニも1959年から40年以上、チンクエチェントは1957年から20年近く作られている。しかも全世界で人気があった。 だからこそ、当時のスタイリングをイメージしたニューモデルが発売されても、それを知っている人たちに支持される。そのような人たちの動きを見て、若い世代も反応する、という好循環が生まれるわけだ。 いっぽう、N-ONEは、N360がルーツであることは、日本の50代以上の人たちならばわかる。ただし、それは日本とごく一部の欧州と北米の人たちに限られる。 1966年当時、まだホンダのクルマ作りは世界に通用するまでに至っていなかったのだ。N-ONEも欧州の3車のようにバリエーションを展開し、輸出にも力を入れれば状況は変わるかもしれない。 ・で、壁は越えられたの? 欧州の3車のブランドイメージは確立されている。なので、壁を越えられるかは、N-ONEがどこまでブランドイメージをアップにさせることができるかで決まる。相手はもう確立したポジションを得ているからだ。 そこにどこまで近づけるかだが、まず輸出しなければ実力や存在を認めてもらえない。 まだまだ壁は高く、遠い……。 ●越えられたか度:50点
【番外コラム】日本車のシートは欧州車より悪い!?
以前は日本車のシートは欧州車に見劣りした。特に差が付いたのが、バックレストの下側から座面の後方にかけてだ。体重の加わる部分が、欧州車では乗員の体形に沿って入念に作り込まれるが、日本車は支え方が甘い。ズレが生じて着座姿勢も安定しにくく、長距離移動で疲労に差が生じた。 それがレガシィ、アコード、デュアリスといった海外向けの車種は、この10年ほどの間に座り心地を向上させた。ただし低価格車には今でも差が残る。欧州車は価格の高低を問わずシートで手を抜かないが、日本車はコスト低減の対象になるからだ。(文:渡辺陽一郎) ●越えられたか度:80点 (写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)