ハンドリング 乗り心地 ダウンサイジング 過給エンジン……日本車が越えられないと言われ続けてきた「壁」
■ダウンサイジング・過給エンジン
ハイブリッドで世界を先導する日本だが、最も欧米のクルマと差がついていると指摘されていることについて現状に迫る!(文:片岡英明) ●フィアット500ツインエア vs 日産 ノート 日本は時代に先駆けてターボやスーパーチャージャーなどの過給機を量産車に搭載し、軽自動車まで広めた。 どのメーカーもパワーに目を向け、速いクルマを生み出している。が、過給機を利用してエコなクルマ作りをしようとは思っていなかった。これが日本のメーカーの発想が貧困なところで大きな壁がある。 初代マーチはターボにスーパーチャージャーを組み合わせたし、シャレードも排気量を下げた926ターボを発売している。これはモータースポーツのためだが、広い意味ではダウンサイジング過給といえるだろう。 21世紀になってフィアットは大胆な発想でダウンサイジング過給を行なった。なんとフィアット500に2気筒のターボエンジンを積んで送り出したのだ。日本の自動車メーカーには真似できないことだろう。 日産もノートを3気筒エンジンにダウンサイジングし、これにメカニカルスーパーチャージャーを組み合わせた。 フィアット500に2気筒ターボの組み合わせは大英断だ。だが、乗ってみると未消化な部分が多いこともわかる。 最大の弱点は2気筒特有のバイブレーションとメカノイズだ。また、2ペダルのマニュアルミッションも違和感がある。運転には慣れとテクニックを必要とする。個性的なデザインのフィアット500だから振動なども"味"として受け入れられるが、日本車ならブーイングの大合唱になるだろう。 ノートはターボではなくスーパーチャージャーを用いたことを高く評価したい。応答レスポンスは鋭いし、低回転から力強いパワーとトルクが味わえる。フィアット500と同じように、日常の使用域での余裕を考えて過給機を採用した。 だが、万人向けで違和感がないのがフィアット500と大きく違うところだ。 ●壁は越えられたのか? 2気筒は懐かしさを感じるが、3気筒エンジンほど快適じゃない。振動を3気筒並みに減らすためにはカネもかかるだろう。 ということでこれからの本命は、軽自動車で主流になっている3気筒だ。その気になれば3気筒でも1.5Lまで排気量を上げることができる。 実際のところ、世界中の自動車メーカーが3気筒エンジンを鋭意開発中だから、遠からずコイツが主役の座に就くことになるはず。 ●越えられたか度:110点