「転職は悪」親はそういうけれど、我慢してでもブラック企業で働くべきですか?
「転職は悪」という親のことばを気にしてブラック企業で、嫌々、働いている、という方はいないでしょうか。 果たして転職は本当に「悪」なのでしょうか。心身をけずってでも、ブラック企業での勤務をがまんして続けるべきなのでしょうか。ブラック企業からの転職について考えていきます。
転職は「悪」なのか
現代において、転職は一概に「悪」とはいえないでしょう。親世代の知る年功序列の社会でもなくなりつつあり、現代は実力主義の社会に移行しつつあります。また、スキルアップや賃金アップなど、前向きな理由に基づく転職をすることも珍しくはなくなっています。 株式会社ライボの「2023年働く環境の実態調査」によれば、ブラック企業勤務経験者のうち、およそ半数が転職し、そのうちおよそ7割が好転を実感できています。この結果をふまえても、やはり一概に「ブラック企業からの転職は悪」と、みなす考え方は、現代にはあてはまらなくなっているように感じられます。 確かに、安易な転職はよくないのかもしれません。しかし、ブラック企業で心身をけずって働き心身に異変をきたすくらいなら、転職した方がよい場合も少なくありません。 転職の経歴も、よほど短期間でくり返していない限り、問題とされない社会になってきています。むしろ前向きな転職であれば、のちの人生でプラスになることもあります。例えば「転職によってのびのびと働くことができ、年収は50万円増えた、または業務範囲も増えてスキルも身に付いた」ということもあります。 このように考えていくと、「転職が悪」と一概にはいえないのです。
本当にブラック企業なら、我慢すべきではない
本当に勤務先がブラック企業ならば、我慢して働きつづける必要はないでしょう。分かりやすく、賃金の未払いやサービス残業など、金銭面に問題があるブラック企業で考えてみましょう。 もし、1時間の残業代が1800円の場合、月に100時間の残業をし、それがすべて未払いになっているとしましょう。残業時間は1年で1200時間、未払いの金額は216万円となります。これを仮に10年続けると、2160万円と、莫大な金額になります。その時間を、仮にまっとうな企業で働いて給与をもらったり、勉強などでスキルアップにあてたりできたら、と考えると、その損失の大きさが実感できるはずです。 また、年収300万円の方が、ブラック企業で働きつづけて体を壊し、1年間、療養したと仮定しましょう。その間には、年収300万円を得られなかったという損失に加え、治療費による出費も生じます。 それだけにとどまらず、次の転職において1年間のブランクというハンデを負うことになります。うつ病など、完治が難しい病気をわずらえば、そもそも再就職が非常に難しいものとなる可能性もあります。そのようなことを考えると、病気になったり、再起不能におちいったりと、職場が厳しい環境であれば、がまんせずに転職するべきでしょう。 ただし、「自分の好きにできないからブラック」「友人の会社より待遇が悪いからブラック」といった理由のみでの転職はやめるべきでしょう。安易な転職は後悔の原因になりかねません。