勇者と魔王、宿敵同士が“一目惚れ”したら?中学生男子のような勇者とツンデレ魔王の恋の最終決戦が予測不可能【作者に訊いた】
世界をおびやかす魔王と、それを討とうとする勇者。宿敵同士が相まみえる最初で最後の決戦で、もしお互いが“ひとめぼれ”してしまったら――!? 【漫画】「恋する最終決戦」を読む 矢尾いっちょ(@1203Yao)さんの創作漫画「恋する最終決戦」は、勇者と魔王のラストバトルという王道展開をラブコメとして描いた短編作品だ。戦う直前までの殺伐とした雰囲気はどこへやら、勇者は中学生男子のような強がりで照れ隠し、かたや魔王は「仲良くしてやってもいいけど!?」とツンデレムーブを見せる…。お似合いな二人と、仲間や魔王の側近による冷静なツッコミやサポートも含め、掛け合いが笑えるラブコメとなっている。 2023年10月、Xに投稿された際には8000件を超える「いいね」とともに、読者から「ツッコミがフル渋滞しまくり」「終始甘々で良き」と反響を集めた同作。「痩せれませんよ?もちやさん」や「どっちかわからないクラスメイト」など、現代を舞台にした作品が多い作者の矢尾いっちょさんに、ファンタジー短編を描いたきっかけや挑戦について話を訊いた。 ■魔王としてのカリスマ性と、恋する乙女のギャップが魅力 「勇者と魔王」という王道のシチュエーションながら、その2人が恋に落ちてしまうという意外な展開の本作。作者の矢尾いっちょさんは、特に魔王のビジュアルに気を使ったという。「魔王としてのカリスマ性を感じさせるデザインであればあるほど、恋する乙女としてのギャップに魅力が出ると感じていたので、歴代キャラの中でも断トツに時間がかかったかもしれません」と、キャラクターデザインに対する思いを語ってくれた。 これまでの作品では「設定やキャラの目新しさによるアイデアの突破力で無理やり作品をつくることが多かった」という矢尾さん。「そこに頼らない形で、いかにキャラクターの魅力で勝負できるか、と腕試しのようなモチベーションで挑みました」とのことで、本作が新境地開拓となったようだ。 「ある種の縛りを設けたおかげで、アイデアだけに頼るのではなくセリフの掛け合いやキャラの動かし方に僕の『らしさ』を出せるよう、シナリオ作りに向き合うことができました」と、漫画制作の基本に改めて向き合うきっかけになったことも明かしてくれた。 勇者と魔王が剣を交えるシーンは、いつも描きなれている世界観からかけ離れたモノだったそうで「上手く描ける自信はなかったが、思い切って挑戦した」シーンだという。「アクションのある漫画にも今後はより積極的に挑戦し、自身の表現により多くの幅を持たせることができればと思っています」と語る矢尾さんの、今後の作品にもぜひ期待したい。 取材協力:矢尾いっちょ(@1203Yao)