虎に翼、地面師たち…話題作に出演 「エンタ芸人」後、実力派も “お笑い”経て活躍する意外な俳優たち
実力派俳優となったエンタ芸人
『silent』(フジテレビ系)、『地面師たち』(Netflix)といった話題のドラマでバイプレーヤーとして活躍する安井順平も、もともとお笑い芸人として活動し俳優へ転向した1人だ。 幼少期は『8時だョ!全員集合』(TBS系)や『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)が好きな少年だったが、お笑いの世界に進もうとは考えていなかった。私立の高校に受かってから目標を見失い、何をするにもやる気が起きず赤点を取って留年してしまう。1つ下の同級生に気を遣われながら、暗黒の4年間を過ごしたという。 高校卒業後は「まだ働きたくない」という理由から東京アナウンス学院に入学。そこで、後の相方となる杉崎真宏(旧芸名:政宏)、ビビる大木と出会った。1995年、杉崎から誘われる形でお笑いコンビ「アクシャン」を結成。幼少期に好きだったお笑い熱が再燃したという。 早くから注目を浴び、『お笑い向上委員会 笑わせろ!』(テレビ朝日・1997年~1998年終了)や『笑う子犬の生活』シリーズ(フジテレビ系・1999年~2001年まで放送された『笑う犬』シリーズの姉妹番組)といった若手中心の深夜番組に出演。ネクストブレークが期待される若手だった。しかし、2002年にコンビは活動停止。杉崎は俳優に転向し、安井はピン芸人として活動をスタートさせた。 『エンタの神様』(日本テレビ系)で「あれはあれでいいのかねー?」から始まる漫談を披露しつつ、もともと好きだった芝居寄りのコントも作っていた。ところが、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)に代表されるショートネタブームが到来し、番組オーディションに受からなくなってしまう。 限界を感じ始めた矢先、予期せぬ流れで後輩芸人が作・演出を務めるサスペンスコメディーの舞台に出演することに。これを客席で見ていた「劇団イキウメ」のプロデューサーから声が掛かり、2007年に同劇団の舞台に客演として参加。2011年末に正式に劇団員となり、2014年に「読売演劇大賞 優秀俳優賞」を受賞するなど、舞台・映像ともに活躍する実力派俳優として認知されていく。 その一方で、映画『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ』(東宝・2014年公開)や元ラーメンズ・小林賢太郎のコント公演『カジャラ』(2016年「大人たるもの」)に参加するなど、お笑い要素の強い作品にも並行して顔を出している。 親交のある俳優・薬丸翔のPodcast番組『薬丸翔の考えすぎる人』の#102「安井順平さんと、考えすぎる、Part3」の中で、安井は「(筆者注:俳優志望ではなかったからこそ)いつまで経っても演劇に対して素人でいたい」と語っていた。 お笑い芸人からスタートし、客観的に演技の世界を眺められる視点が俳優としての武器になっているのだろう。