【陸上】世界陸連会長・セバスチャン・コー氏がIOC会長選に立候補 現役時代に男子1500mで2度の金メダル
9月16日、国際オリンピック委員会(IOC)はトーマス・バッハ会長の任期満了に伴って行われる次期会長選に立候補した7人を発表し、世界陸連(WA)のセバスチャン・コー会長が立候補したことを明らかにした。 コー会長がトランスジェンダー選手の出場制限を検討 「私は公平性を選択することを常に明確にしてきた」 コー氏は67歳。現役時代は800m、1500mを専門とし、1980年モスクワ五輪、1984年ロサンゼルス五輪ではいずれも1500mで金メダル、800mは銀メダルを獲得している。800m、1500m、1マイルなどで世界記録を12回更新。1981年に出した800m1分41秒73は1997年に破られるまで16年間も世界記録として残った。 現役引退後は、1992年から英国議会の議員を務めたほか、2012年ロンドン五輪の組織委員会会長として、大会の実現に奔走。WAでは07年から副会長、15年からは会長を務めている。 WA会長としては、さまざまな改革を断行。ドーピングによる違反や倫理違反行為に対処する独立機関「アスリート・インテグリティ・ユニット」の設立や、トランスジェンダー選手の出場制限を支持した。また、政治的にはウクライナ侵攻を行ったロシアとベラルーシに対して強硬な姿勢を示し、国際大会に両国選手の参加を認めない方針を示してきた。 アスリートや陸上競技の地位向上を目的に、選手たちを金銭面で補助する政策を打ち出し、今年のパリ五輪では国際競技団体として初めて五輪金メダリストに報奨金5万ドルを贈ることを発表。さらに、26年には賞金総額15億円となる「世界陸上アルティメット選手権」を行うことも発表した。 コー氏は、IOCの発表を受けて自身のSNSで声明を発表。「コロナ禍で多くの人が運動不足に苦しみ、多くのスポーツ団体が資金不足に悩まされました。今後10年間で、その両面に多くの投資する必要があります」とスポーツ界に対して危機感と募らせていることを明らかにし、「IOCは課題に対しレーザーのように集中して取り組むことが優先事項であり、私であればこれらを解決できるだろう」と意欲を見せた。 IOC会長選にはコー氏のほか、日本人として初めて立候補する渡邊守成・国際体操連盟会長、ダビド・ラパルティアン・国際自転車競技連合会長、IOC副会長のフアン・アントニオ・サマランチ・ジュニア氏らが名乗りを上げている。 会長選は来年3月にアテネでIOC委員の投票によって行われ、当選者は来年6月から8年の任期を務める。 ※一部、記事を修正しました。
月陸編集部